- 著者
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永田頌史
- 出版者
- 学校法人 産業医科大学
- 雑誌
- 産業医大誌 (ISSN:0387821X)
- 巻号頁・発行日
- vol.15, no.2, pp.161-171, 1993
- 被引用文献数
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心理・社会的ストレスによって免疫系が影響を受けることは, 一般に知られているが, 近年の神経科学, 免疫学の進歩により, その機序が詳細に解明されつつあり, 脳と免疫系が共通の情報伝達機構を持っていることが明らかになってきた. 心理・社会的ストレスによって細菌やウイルスに対する感染抵抗性が低下することや生活変化に伴うストレス, 適切でない対処行動や感情の障害された状態によって, 好中球の貪食能, リンパ球反応性, NK活性が抑制されること, またこれらが発癌にも関与することを示唆する成績について紹介した. 脳と免疫系の相互作用について, 視床下部-脳下垂体-副腎系のほかに, 自律神経系を介した免疫系への制御系の存在, 免疫・アレルギー反応の外部刺激による条件づけ, サイトカインの中枢作用, 免疫細胞からの神経ペプチド類の産生などについて, 著者らの成績も含めて解説した.