著者
永見 佳子 松浦 美由紀 宮田 恵子
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.60, pp.65, 2011

当院ではこの度、子どもに分かりやすいパンフレットを作成し、キワニスドール(以下人形)を使用した周手術期プレパレーションを試みた結果,有効性が得られた。BR 扁桃摘出術を受けた3歳~7歳の子どもとその家族、手術室看護師を対象に独自に作成した選択・記述式のアンケート調査を行った。倫理的配慮は、文書で説明し同意を得た。プレパレーションの方法は、まず外来看護師は親と子どもに作成したパンフレットと人形を渡す。その時に、パンフレットは親子で読み、人形は子ども自身にみたて、顔を書いてもらうよう説明する。そして入院後、病棟看護師は、手術前後に行う処置についてパンフレットと人形を用いて説明する。また,手術室看護師も術前訪問で同様に説明する。BR アンケートの結果より、パンフレットは大半の子供が見ていることが分かり、「これからどのようなことをしていくのかよく分かった」という意見がきかれた。パンフレットは、手術を受ける子どもと親にとって、これから行う入院から手術、退院までの流れを知るよい情報源となった。そして、これから自分の身に起こる出来事を正面から受け入れるものであった。また子どもは、人形に医療行為を真似るというよりも、自分の身に起こる出来事を一緒に立ち向かう仲間とし不安の軽減をはかったと考える。そして、周手術期プレパレーションは、各部署が一人の子どもの入院から退院までの流れや内容を具体的に把握し表現することで一貫した看護を提供できた。そして,手術室看護師は小児看護に関して経験が乏しいため、作成したパンフレットは術前訪問で十分に活用でき、一貫した手術室看護を提供できるようになった。BR 今後は、どの小児の周手術期プレパレーションにも対応できるパンフレットを作成し、外来と病棟、手術室で連携した看護を展開していきたい。