著者
秋元 宏 宇野 哲也 宮原 岳彦 江川 直行 宮坂 広夫 掬川 正純
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.59, pp.12, 2007

目的<BR>生活者が衣類着用時に受ける衣類の摩擦について実態を把握するとともに、肌と衣類との摩擦低減効果のある柔軟仕上げ剤(以下、柔軟剤)の肌への影響について調べる。<BR>2.方法<BR><U>試験剤</U>:カチオン性界面活性剤系柔軟剤(以下、汎用柔軟剤)、ポリエーテル変性シリコーン柔軟剤(以下、シリコーン柔軟剤)<BR><U>試験布</U>:綿ブロードおよびポリエステルサテン。試験剤にて布に柔軟仕上げ処理をし、非使用を含む3種の試験布を作成した。<BR><U>動摩擦係数</U>:平面接触子に試験布を貼付し摩擦係数測定装置にて前腕内側上を滑らせて測定した。<BR><U>使用試験</U>:敏感肌、アトピー性皮膚炎、乾皮症等の皮膚炎を有する者を被験者としシリコーン柔軟仕上げ剤を洗濯時に使用させる方法で、1ヶ月間冬季に実施した。また、一部の被験者については約1年間通して使用させた。<BR>3.結果<BR>3種の試験布のうちシリコーン柔軟剤で処理した試験布の動摩擦係数が最も低く、非使用の試験布と比較しその値は0.1も低減していた。また、汎用洗剤および試験剤を用いて30回繰り返し洗濯をしたバスローブの着用感を官能による一対比較法にて試験した。その結果、すべりやすい、やわらかい等の項目に関してシリコーン柔軟剤で仕上げた衣類の着用感は良好であった。<BR>また、使用試験ではシリコーン柔軟剤で仕上げた衣類の着用で7割以上の被験者が「肌あたりの良さ」や「引っかからない感じ」を実感し、半数以上の被験者で肌の「乾燥」や「かゆみ」などが和らぐことが医師により確認された<SUP>1,2)</SUP>。さらに、約1年の長期使用によっても、有害事象および治療を妨げることは無かった。7割以上の被験者が「肌触りのよさ」を実感し、また、「今後も使用し続けたい」との意向を示した。<BR>文献<BR>1)永島敬士他;診療と新薬,43(9),p.912-917(2006)<BR>2)渡辺晋一他;診療と新薬,44(2),p.27-32(2007)<BR>