著者
橋本 恵美子 山崎 久生 宮坂 広夫 向山 恒治
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.86, 2003 (Released:2004-05-25)

[目的]一般的な柔軟仕上げ剤で処理した繊維の水分および熱の移動特性については種々研究されている1)が、カチオン界面活性剤(以下、カチオン)にシリコーンを併用した柔軟仕上げ剤に関してはほとんど検討例がない。本報ではカチオン/シリコーン併用柔軟仕上げ剤で処理した各種繊維の水分移動特性を詳細に検討し、更に処理衣類着用時の快適性について評価した。[方法]評価には、予め前処理した綿、ポリエステルの試験布または衣類を用いた。カチオンのみの柔軟仕上げ剤を対照として、カチオン/シリコーン併用柔軟仕上げ剤の濃度を変化させて処理した各種繊維の、吸水性および蒸散性を接触吸水法により測定した。また、処理衣類着用時の快適性は、発汗時の衣服内温湿度を測定することにより評価した。[結果]一般に、綿繊維の吸水性能は柔軟剤の使用により低下するが、主基材であるカチオンの種類やシリコーンと併用することでこの低下が軽減するとの報告がある2)。カチオン/シリコーン併用柔軟仕上げ剤に関して、シリコーンの量を増加させると吸水性が向上し、綿については柔軟剤非使用と同程度になることが明らかとなった。一方、ポリエステルに関しては、柔軟仕上げ剤を使用すると非使用と比較して吸水性が向上し、シリコーンの併用によりこの効果は更に増大した。また、これら水分移動特性が良好な衣類を着用した場合、発汗時においても衣服内の湿度を低く保つなど、着用時の快適度が高いことが明らかになった。1)井上ら,繊維学会誌,53,p.226(1997)他2)橋山ら,日本家政学会第54回大会要旨集,p.179(2002)他
著者
秋元 宏 宇野 哲也 宮原 岳彦 江川 直行 宮坂 広夫 掬川 正純
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.59, pp.12, 2007

目的<BR>生活者が衣類着用時に受ける衣類の摩擦について実態を把握するとともに、肌と衣類との摩擦低減効果のある柔軟仕上げ剤(以下、柔軟剤)の肌への影響について調べる。<BR>2.方法<BR><U>試験剤</U>:カチオン性界面活性剤系柔軟剤(以下、汎用柔軟剤)、ポリエーテル変性シリコーン柔軟剤(以下、シリコーン柔軟剤)<BR><U>試験布</U>:綿ブロードおよびポリエステルサテン。試験剤にて布に柔軟仕上げ処理をし、非使用を含む3種の試験布を作成した。<BR><U>動摩擦係数</U>:平面接触子に試験布を貼付し摩擦係数測定装置にて前腕内側上を滑らせて測定した。<BR><U>使用試験</U>:敏感肌、アトピー性皮膚炎、乾皮症等の皮膚炎を有する者を被験者としシリコーン柔軟仕上げ剤を洗濯時に使用させる方法で、1ヶ月間冬季に実施した。また、一部の被験者については約1年間通して使用させた。<BR>3.結果<BR>3種の試験布のうちシリコーン柔軟剤で処理した試験布の動摩擦係数が最も低く、非使用の試験布と比較しその値は0.1も低減していた。また、汎用洗剤および試験剤を用いて30回繰り返し洗濯をしたバスローブの着用感を官能による一対比較法にて試験した。その結果、すべりやすい、やわらかい等の項目に関してシリコーン柔軟剤で仕上げた衣類の着用感は良好であった。<BR>また、使用試験ではシリコーン柔軟剤で仕上げた衣類の着用で7割以上の被験者が「肌あたりの良さ」や「引っかからない感じ」を実感し、半数以上の被験者で肌の「乾燥」や「かゆみ」などが和らぐことが医師により確認された<SUP>1,2)</SUP>。さらに、約1年の長期使用によっても、有害事象および治療を妨げることは無かった。7割以上の被験者が「肌触りのよさ」を実感し、また、「今後も使用し続けたい」との意向を示した。<BR>文献<BR>1)永島敬士他;診療と新薬,43(9),p.912-917(2006)<BR>2)渡辺晋一他;診療と新薬,44(2),p.27-32(2007)<BR>
著者
道端 あい 毛利 輝高 内藤 直弘 西川 直樹 宮坂 広夫 高岡 弘光
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 60回大会(2008年)
巻号頁・発行日
pp.203, 2008 (Released:2008-11-10)

【背景】洗濯後の衣類の香りや臭いに対する消費者意識は高く、近年、衣類の消臭、部屋干し臭抑制、高残香性等の機能を付与した洗剤が発売されている。また、洗濯後に残る気になる臭いとして、皮脂臭・加齢臭をあげる女性が多いことから、Web調査にて、特に“夫の洗濯物の臭い”に対する意識と洗濯行動の実態把握を行った。 【方法】洗濯主体者であり、かつ夫が同居している既婚女性を対象にWeb調査を行った(有効回答数1032人)。 【結果・考察】本調査により、既婚女性の82%が夫の洗濯物の臭いを不快に感じ、26%の人が分け洗いを行っている結果が得られた。年齢や結婚年数を項目とするクロス集計分析を行ったが、特に顕著な差はみられなかった。一方、結婚生活への満足度や二人での外出頻度等の夫婦間コミュニケーションに関連した項目と、夫の洗濯物の臭いに対する感じ方との間には高い相関性がみられた。また、家事参画度にも臭いの感じ方に対し同様な傾向が認められた。 そこで、夫婦間コミュニケーションレベルに関する25項目の質問を因子分析し、精神的充足や愛情表現実行等の4つの因子を抽出した。これらの因子を元に対象者をクラスター分析し、コミュニケーションレベルで夫婦の形態を5階層に分類した。その結果、「結婚生活ネガティブ」層では61%が夫の洗濯物の臭いを不快と感じているのに対し、「夫婦円満」層ではわずか6%であった。実際の行為としての分け洗いの実施率についても同様であった。これらのことから、夫婦間のコミュニケーションと夫の洗濯物の臭いに対する感じ方や洗濯行動とには密接な関係があると推定された。