著者
江村 正一 早川 大輔 陳 華岳 正村 静子
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.45-50, 2003 (Released:2008-06-11)
参考文献数
30
被引用文献数
3 3

新生子および成獣ライオン Panthera leo の舌表面を肉眼的および走査型電子顕微鏡で観察した.ライオンの舌の先端は円く,舌背側面には糸状乳頭,茸状乳頭および有郭乳頭が観察され,舌尖の腹側面の一部にも糸状乳頭が見られた.糸状乳頭は舌表面全域に見られ,舌尖の周辺部の糸状乳頭はそれ以外の場所の糸状乳頭に比し小型であった.また,糸状乳頭は舌の場所により異なる形態を示した.新生子の糸状乳頭は形態的に未発達で,その先端部が浅く陥凹しており,突起状を示さなかった.茸状乳頭は,糸状乳頭の間に散在して見られ,その分布は舌体に比し舌尖周辺部において密であった.有郭乳頭は舌体と舌根との境界領域に観察された.さらに,糸状乳頭の発育は茸状乳頭および有郭乳頭に比し遅かった.なお,葉状乳頭はいずれのステージでも観察されなかった.
著者
江村 正一 奥村 年彦 陳 華岳
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.37-43, 2009-06-30
参考文献数
41

レッサーパンダの舌表面を肉眼にて観察し,さらに舌乳頭およびその結合織芯を走査型電子顕微鏡で観察した.肉眼所見では,舌の先端は円く弓状を呈し,舌正中溝および舌隆起は観察されなかった.茸状乳頭は舌体に比し舌尖において密に存在した.有郭乳頭は,舌体後部において円形を呈し,V字形に並んで左右それぞれ5個観察された.葉状乳頭は観察されなかった.走査型電子顕微鏡により舌尖および舌体の糸状乳頭を観察すると,シャベル状の主乳頭とその左右から突き出た数本の針状の二次乳頭からなった.糸状乳頭の結合織芯の形態は,基部から多くの小突起がでる構造として観察され,舌尖と舌体とで異なった.すなわち,舌尖の結合織芯は舌体のやや小型であり,舌尖の中でも外側の方が内側より細く針状構造を呈した.茸状乳頭はそれら糸状乳頭の間にドーム状構造として散見され,舌体より舌尖に多かった.茸状乳頭の結合織芯は,円柱状を呈しその頂上には陥凹が存在した.有郭乳頭の表面は平坦で,乳頭は輪状郭により取り囲まれ,乳頭と輪状郭の間に輪状溝が存在した.有郭乳頭の結合織芯は,球状で表面には多数の突起が存在した.有郭乳頭の外側には,大型の円錐乳頭が見られるとともに多数の分泌腺の開口部が観察された.このような開口部は上皮を剥離するとより顕著となった.<br>
著者
江村 正一 奥村 年彦 陳 華岳
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.37-43, 2009 (Released:2009-07-16)
参考文献数
41

レッサーパンダの舌表面を肉眼にて観察し,さらに舌乳頭およびその結合織芯を走査型電子顕微鏡で観察した.肉眼所見では,舌の先端は円く弓状を呈し,舌正中溝および舌隆起は観察されなかった.茸状乳頭は舌体に比し舌尖において密に存在した.有郭乳頭は,舌体後部において円形を呈し,V字形に並んで左右それぞれ5個観察された.葉状乳頭は観察されなかった.走査型電子顕微鏡により舌尖および舌体の糸状乳頭を観察すると,シャベル状の主乳頭とその左右から突き出た数本の針状の二次乳頭からなった.糸状乳頭の結合織芯の形態は,基部から多くの小突起がでる構造として観察され,舌尖と舌体とで異なった.すなわち,舌尖の結合織芯は舌体のやや小型であり,舌尖の中でも外側の方が内側より細く針状構造を呈した.茸状乳頭はそれら糸状乳頭の間にドーム状構造として散見され,舌体より舌尖に多かった.茸状乳頭の結合織芯は,円柱状を呈しその頂上には陥凹が存在した.有郭乳頭の表面は平坦で,乳頭は輪状郭により取り囲まれ,乳頭と輪状郭の間に輪状溝が存在した.有郭乳頭の結合織芯は,球状で表面には多数の突起が存在した.有郭乳頭の外側には,大型の円錐乳頭が見られるとともに多数の分泌腺の開口部が観察された.このような開口部は上皮を剥離するとより顕著となった.
著者
江村 正一 奥村 年彦 陳 華岳
出版者
コ・メディカル形態機能学会
雑誌
形態・機能 (ISSN:13477145)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.7-12, 2008-08-28 (Released:2010-09-09)
参考文献数
14
被引用文献数
2

スズメ (Passer montanus) の舌乳頭とその結合織芯を走査型電子顕微鏡で観察した。肉眼所見では幼鳥および成鳥ともに、舌は舌尖、舌体および舌根の3部位からなり、舌尖の先端は2つに分離した。舌尖から舌体にかけて左右両側は隆起し、正中溝の存在が認められ、舌体の後端には大型の円錐乳頭が存在した。舌尖を走査型電子顕微鏡で観察すると、幼鳥では正中溝に向かって、非常に多くの上皮細胞の剥離が見られた。舌体の表面は、隆起表面は成鳥ではほぼ平坦であったが、幼鳥では円錐乳頭の表面を除き上皮細胞の剥離が見られた。上皮剥離後の舌体の左右隆起部には、大小の突起を有するノコギリ状の結合織芯が縦方向に並ぶ。正中溝においては上皮を剥離することにより、分泌腺の開口部がより鮮明になり、多数の開口部が蜂の巣状を示し、各開口部をリング状に取り囲む結合織芯が観察された。舌尖から舌体にかけて正中溝が見られ、舌尖、舌体ともこの正中溝により分断される所見はこれまでに報告がない。
著者
江村 正一 阿閉 泰郎 陳 華岳
出版者
コ・メディカル形態機能学会
雑誌
形態・機能 (ISSN:13477145)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.13-16, 2010 (Released:2015-11-18)
参考文献数
5

17種類の哺乳類の喉頭蓋を観察し次の5つの型に分類できた。Ⅰ型:喉頭蓋の上縁が弓状のもの(ケープハイラックス、マレーセンザンコウ、タヌキ、ニホンカモシカ、ヌートリア、ニホンザル)、Ⅱ型:喉頭蓋の先端が尖った三角形を呈するもの(マーラ、レッサーパンダ、チョウセンイタチ、ハクビシン、アライグマ、アブラコウモリ、コモンツパイ)、Ⅲ型:喉頭蓋の正中部に小突起が見られるもの(ホンドギツネ、ジャワオオコウモリ)、Ⅳ型:喉頭蓋の正中部に長い突起が見られるもの(ジャワマメジカ)、Ⅴ型:喉頭蓋の正中部が2分しているもの(カピバラ)。