著者
江藤 浩之 中内 啓光
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.23, no.5, pp.553-559, 2008 (Released:2008-12-18)
参考文献数
15

さまざまな出血性疾患や易出血病態において,血小板輸血が唯一の有効な治療法である.しかしながら,血小板は冷蔵保存ができず供給不足状態にある.また,献血者由来血液製剤を介した感染症は近年増加傾向にある.代わって献血者ドナーに頼らない輸血用血液のソースとして,無限に試験管内で増殖可能であるヒト胚性幹細胞(ES細胞)が提唱されている.筆者らはヒトES細胞からの血小板産生培養法を開発した.近年,樹立された誘導性多能性幹(iPS)細胞はES細胞同様の特性を持つため,患者由来iPS細胞からの輸血製剤産生も実現することが期待される.