著者
江藤 浩之 中内 啓光
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.23, no.5, pp.553-559, 2008 (Released:2008-12-18)
参考文献数
15

さまざまな出血性疾患や易出血病態において,血小板輸血が唯一の有効な治療法である.しかしながら,血小板は冷蔵保存ができず供給不足状態にある.また,献血者由来血液製剤を介した感染症は近年増加傾向にある.代わって献血者ドナーに頼らない輸血用血液のソースとして,無限に試験管内で増殖可能であるヒト胚性幹細胞(ES細胞)が提唱されている.筆者らはヒトES細胞からの血小板産生培養法を開発した.近年,樹立された誘導性多能性幹(iPS)細胞はES細胞同様の特性を持つため,患者由来iPS細胞からの輸血製剤産生も実現することが期待される.
著者
小糸 厚 中内 啓光 澤田 新一郎
出版者
筑波大学
雑誌
特定領域研究(A)
巻号頁・発行日
1998 (Released:1998-04-01)

CXCR4を主に用いるT細胞指向性HIVは一般に病態の進行に伴い出現する。この種のHIVが蔓延した感染者体内のCD4陽性下リンパ球がどのような機構により減少していくのか、あるいはCXCR4指向への質的なウイルス変異が免疫不全の進行に先立って必須であるか否かの二点について依然として明確に答えることはできず、個体レベルでの発症機構解析が必要とされている。マウスは、遺伝的な背景が詳しく解析されており、この病原レトロウイルスと宿主免疫系および宿主細胞遺伝子群との相互作用を明らかにするには、優れた小動物モデル系になりうる可能性を持つ。我々は、ヒトCD4およびヒトCXCR4遺伝子をマウスCD4遺伝子の転写制御領域(CD4エンハンサー,プロモーター,およびサイレンサー)に結合させた二種のトランスジーンを作製、両コンストラクトをマウス受精卵の核内に注入し、それらが同じ染色体に組み込まれたマウスを作製した。このヒトCD4/CXCR4を発現したマウスの胸腺、牌臓および末梢血よりリンパ球を調整し、そのHIV感受性をヒト末梢血単核細胞(peripheral bloodmononuclear cells;PBMC)と比較、検討したところ少なくともin vitroにおいてはCXCR4指向性HIV-1が感染することが確認された。しかしながら、マウスのprimaryのlymphoid系細胞でのHIVの複製は依然として制限されたものであり、CD4とCXCR4のみでは実用的なHIV感染モデルにはなりがたく、さらなるヒト特異的遺伝子の導入が必要であることを明らかにした。
著者
中内 啓光 丹羽 仁史 横田 崇 須田 年生 岡野 栄之 石川 冬木
出版者
東京大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2002 (Released:2002-04-01)

本特定領域研究では1)細胞の初期化の機構の解明、2)幹細胞の未分化性維持機構、3)幹細胞の多様性と可塑性の三つの柱を中心に5年間にわたり研究を進めた。ES細胞、組織幹細胞のそれぞれにおいて研究が大きく進展したが、最近2年間に本特定領域研究の分担研究者である山中伸弥教授らによって遺伝子導入によって体細胞を多能性幹細胞に変換する技術が開発され、再生医療・幹細胞研究に大きな転換を迎える事態となったことは特筆すべきことである。厳しいガイドラインのため本邦においてはヒトES細胞研究が諸外国と比して進展に遅れていたが、倫理的問題を含まないiPS細胞技術の登場により、多能性幹細胞の分野にも今後大きな研究の進展が見込まれる。そこで昨年度は新しく開発されたiPS細胞産生技術を中心に「幹細胞研究を支える新しいテクノロジー」というテーマのもとでシンポジウムを開催した。産業界を含む300名近い研究者が参加し意見を交換することにより、本研究領域における研究で得られた知見を速やかに共有することができた。また、総括班メンバーを中心に今後の幹細胞研究の進め方などについても討議がなされた。
著者
奥村 康 八木田 秀雄 中内 啓光 熊谷 善博
出版者
順天堂大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1986 (Released:1987-03-31)

抑制性T細胞に限らず、T細胞の機能発現のために、標的との結合に不可欠の数々の免疫機能分子の解析、その発現機序等の解析を通し、T細胞の免疫系での調節性の役割を解析した。1)抑制性T細胞株の確立とその細胞膜分子の解析 抗原に得異的な抗体産生抑制性T細胞株を確立し、その抗原レセプターを介するシグナルがいかなるリンフォカインを産生するかを指標に、抑制性T細胞の機能の多面性を解析した。また、この抑制性T細胞膜上の遺伝産物に対する抗体の確立と、その抗体の反応分子の検索を進めた。また、これらの抑制性T細胞の疾患における意義を解析するため、各種の自己免疫病、特にリウマチにおける抑制性T細胞をその細胞膜表面分子を指標に解析した。2)リンパ球機能分子のコードする遺伝子の単離とその分子に対するモノクローナル抗体の確立 T細胞の抗原レセプター以外に、いくつか重要な補助分子としてリンパ球機能分子と総称される膜分子が、リンパ球の分化と機能発現に大きな役割をしていることが明らかになりつつある。マウスのT細胞に焦点をあて、抑制性T細胞、細胞障害性T細胞の機能発現に不可欠な分子CD8、CD2等の遺伝子の単離同定、またそれらの遺伝子導入した細胞を用いて、その分子の免疫反応での役割を解析した。その分子に対するモノクローナル抗体を確立し、これらの機能分子の動きを調べた。3)細胞障害性リンパ球の最終エフェクター分子の解析 T細胞やNK細胞の細胞エフェクター分子のひとつであるperforinの遺伝子の単離に成功し、その分子の免疫応答で果たす役割を分子免疫学的に解析した。