著者
江角 智也
出版者
島根大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

多くの植物で花成を誘導するフロリゲン遺伝子(FT)は、カキとブドウにおいては、果柄(穂軸)と果実で強く発現していた。一方、FTと拮抗する働きを示すTFL1遺伝子の発現は、結果枝に形成される芽において強く発現していた。ブドウでは、有核果を着果させた結果枝と無核果の結果枝とで、それら遺伝子の発現レベルに違いがみられた。また、隔年結果の原因シグナルとして考えられているジベレリンの合成やシグナル伝達に関与する遺伝子の発現についても、有核果の結果枝と無核果の結果枝とで、一部の器官において発現レベルの違いがみられた。果実着果、種子形成と花芽形成の関係における、花成関連遺伝子の関与について知見を得た。
著者
江角 智也 多田 康浩 吉林 隆太 末廣 優加 板村 裕之 白澤 健太
出版者
島根大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

サクラは散房花序から散形花序の形態多様性を示す.その違いを遺伝子レベルで特徴付けて解明することを目指し,フロリゲン・アンチフロリゲン遺伝子を解析の糸口として花序の形態形成の分子メカニズムを探った.サクラ140品種の花序形態を調査し,花序軸伸長と花数との関係,花序軸伸長と開花の早晩との関係を見出した.次に,サクラ7品種の花芽分化を走査型電子顕微鏡で比較観察し,花序発達の初期段階の小花原基誘導の違いについて明らかにした.花序組織におけるFT相同遺伝子,TFL1相同遺伝子,およびCEN相同遺伝子などの遺伝子発現について調査したが,それら遺伝子発現と花序形態の違いとに関係性を見出すことは出来なかった.