著者
池ヶ谷 篤 油上 保 柴本 薫 楠原 正俊
出版者
公益社団法人におい・かおり環境協会
雑誌
におい・かおり環境学会誌 (ISSN:13482904)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.380-388, 2017-09-25 (Released:2021-07-09)
参考文献数
55

静岡がんセンターは,患者の視点を重視することを基本理念として設立された,高度がん専門医療機関である.がん患者は,患部の壊死や代謝異常により特有の病臭が発生し,大きなストレスを感じている.我々は,日本人の生活に深く根ざした緑茶を蒸留し,その香りを活用して患者のストレスを低減させ,QOLを向上させる取り組みを実施した.この取り組みに適した蒸留液の原料としては.二番茶の茎茶が最適であった.開発した緑茶蒸留液は,心を安らげる香りを有しているだけでなく,トリメチルアミンやジメチルスルフィド等のがんの病臭を低減させる効果を有していた.