著者
片平 理子 池田 とく恵 橘 ゆかり
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.24, 2012

【目 的】 管理栄養士養成教育内容が高度化する中で、食事の基本について学ぶ調理学等の科目の割り当て時間は限られる現状にある。本研究では、食事作りの理解のために「調理を習慣化させる」ことを最終目標として、「野菜を切る操作を含む料理を作る」という条件のみを設定し、学生が自宅で行う実技課題を課した。昨年度の本大会では、課題が学生の食生活に対する関心、調理に対する意欲や自己効力感に及ぼした影響について報告した。今回は、課題実施内容の傾向を分析し、課題の妥当性、難易度、実行可能性を考察し、調理初学者に対する効果的な指導方法を検討した。【方法】管理栄養士養成課程1年生前期の開講科目「調理実習」において、自宅で「野菜を切る操作」を含む調理をする課題を出した。課題は週に1度のペースで前期授業終了までに合計5回課した。全課題終了後に各課題後に提出した料理のレシピを元に、実施内容の詳細と感想・意見をまとめ、ファイル書式で提出させた。提出物から課題の実施状況と課題に対する学生のとらえ方を整理した。【結果】学生が一度の課題に費やした時間は、「30分以内~2時間以上」(頻度が高かったのは、30分~1時間)、使用した野菜は「1~8種類」(同、2~4種類)、行った切り方の種類は「1~6種類」(同、1~3種類)の範囲であった。一方、作った料理は「家の定番」の中から「食べたい料理」を選択する頻度が高く、調理法別では、炒め物・汁物が高く、蒸し物・揚げ物は低い傾向があり、カレー、丼物のような主食・主菜一体型の料理の調理頻度が高かった。調理習慣の無い学生が調理行動を学習するきっかけを提供するという点では、意義のある課題であったと考えられる。調理を学び始めた学生に、効果的に食材や調理法等の知識を広げさせ、様々な技術を習得させるためには、課題各回の目標を設定し、系統的に学ぶ流れを提示する必要があることが示唆された。