著者
池田 光良 阪田 義隆
出版者
公益社団法人 地盤工学会
雑誌
地盤工学研究発表会 発表講演集
巻号頁・発行日
vol.39, pp.1169-1170, 2004

キタサンショウウオの生息環境は過去に十分な調査が行われておらず,釧路湿原国立公園など自然環境が残されている地域に生息していると漠然と思われていた。近年,キタサンショウウオは湿地と乾燥域の接している部分や,未開発地域と開発地域の境界付近に生息していることがわかってきた。開発行為によるインパクトを評価するための基礎資料を得る目的で詳細な地下水位観測を行い,地下水収支を検討した結果,融雪期の2mm/日に達する涵養量による地下水位急上昇→地下水マウンドの形成→地下水面>地表で産卵→地下水位低下→凍結深より深い地下水面=冬眠可能な空間の形成,というサイクルを繰り返していることが明らかになった。
著者
池田 光良 三浦 均也 操上 広志
出版者
Japan Society of Engineering Geology
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.70-85, 1999-06-10 (Released:2010-02-23)
参考文献数
24
被引用文献数
2 2

地下水温は最も有効な環境トレーサーの1つとされており, 地下水の涵養域では平均値よりも低温, 流出域では高温となる. この原理を用いて, これまで地下水流域が明らかにされていなかった北海道美々川地下水域の範囲を次のように推定することができた. (a) 隣接する遠浅川上流域のうち馬追丘陵を除く流域は美々川地下水域に属する. (b) 遠浅川中流域では美々川と遠浅川の地下水分水界が存在する. (c) 西側の境界は西方火山灰台地の90mピークであり, かって漠然と考えられていた支笏湖から美々川流域への漏水は考えにくい. (d) 地下水温から推定された地下水分水界は有限要素法による熱移流拡散解析, 地下水面の位置, および水収支による結果と整合する.近年, 地下水温は地球温暖化の指標として注目されている. 本調査地でも, 都市化に伴う地下水温の上昇が見出された. また, 土木工事の大型化に伴い, 地下水流動系規模の環境影響評価が必要となってきている. 今回の調査結果は以上のような目的に対しても, 地下水温調査が有効であることを示唆している.