- 著者
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松原 聡
山口 翔
岡山 将也
池田 敬二
- 出版者
- 公益財団法人 情報通信学会
- 雑誌
- 情報通信学会誌 (ISSN:02894513)
- 巻号頁・発行日
- vol.30, no.3, pp.77-87, 2012-12-25
2010年代に入り、日本でも、電子書籍が普及し始めた。電子書籍では、コンピュータによる音声読み上げ技術 (TTS) を使うことで、音声で書籍の内容を聞くことが可能になる。このことは、視覚障害者に、読書の道が開かれることを意味する。しかし、日本においては、音声読み上げ対応の電子書籍はまだわずかしかない。<br>紙の書籍による読書が困難なのは、視覚障害者だけではない。読字障害者 (ディスレクシア)、身体障害者などの読書障害者ともいうべき者や、健常者であっても、指先をケガしてページをめくれない者、老眼が進んだ者なども含んだ読書困難者、さらには満員電車の中で、イヤフォンで読書をしたいというニーズもある。<br>こういった広範なニーズを踏まえて、政府は、すでに発足した出版デジタル機構などを通じて、積極的に、音声読み上げ対応の電子書籍の普及に取り組む必要がある。