著者
池田 清子
出版者
一般社団法人 日本フットケア・足病医学会
雑誌
日本フットケア・足病医学会誌 (ISSN:24354775)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.53-59, 2020 (Released:2020-08-31)
参考文献数
2

慢性腎不全患者は足病変のハイリスク群である. 医療者は患者の足切断を予防するため患者に正しく足病変を理解してもらい, 足を守るセルフケアを行ってもらうよう患者教育を行う. しかし, 患者教育の効果をあげるためには, 足病変を含め患者を全人的に理解する必要がある. そこで, 本稿では患者理解と患者教育に有用と考えられるセルフケアとセルフマネジメントの考え方を紹介する. セルフケアという言葉は, リハビリテーション領域や一般書でも見られる言葉であるが, 看護では動作や行動だけでなく, 人間の思考や判断, 信念や動機づけまでをも含む広い概念として理解されている. また, すべての人間は健康になりたいと願い, 能動的に環境に働きかける存在であることを前提としている. セルフマネジメントはセルフケアと似ている言葉であるが, セルフケアよりも首尾範囲が明確で, 実践に活用しやすいモデルである. 今後, セルフケア, セルフマネジメントを患者理解と患者教育に活用することで慢性腎不全患者の足切断が減少し, 患者のQOLが向上することが期待できると考える.