著者
池見 直俊
出版者
九州大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、日本の大学において必要性が高まっているリサーチ・アドミニストレーター(URA)にとって最適なロールモデル及びキャリアパスを構築するため、日本及び米国のURAやURA相当職へ質問調査を行った。日本では5機関10人のURAやURA相当職へ対面式のインタビュー調査を行った。全国の大学においてURAが雇用され始め、その数は比較的に増大したが、各大学におけるURAの認知度は執行部以外では未だに低いということであった。また、各大学のURA組織は教員組織や事務組織と物理的に離れた場所に配置されており、インフォーマルな場での知識共有を阻害する1つの要因と考えられる。加えて、URAを多数雇用している大学は、本部担当URAの他に部局担当のURAも配置しているが、URA組織設立当初から雇用されているURAと、組織が成熟した後に加入したURAとが価値観を共有することが難しいとのことであった。米国ではスタンフォード大学の研究者から紹介を受けたハワイ在住の外部資金獲得コンサルタントにメールによる質問調査を行った。日本の大半の大学ではURAの採用条件に博士号が入っているが、当人によれば、何かの研究に精通しているとういことはこの業種で必須ではなく、むしろどのような研究においても人にわかりやすくストーリー仕立てで伝えることができる能力や、複数の複雑な研究内容を申請書の中でうまく統合していくという能力が求められるということであった。以上の調査から、URAにとって最適なロールモデルおよびキャリアパスを構築するためには、組織配置の改善による知識共有とURAの認知度向上、URA間での価値観の共有、URAに必須のスキルについて更に掘り下げていく必要があり、これまでのインタビュー結果から抽出した要素を含めた大規模な質問票調査を行う必要があることが明らかとなった。
著者
池見 直俊
出版者
九州大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2015

大学教員の研究力を高めるため、URAに必要な能力やURAの最適配置について、URAや米国のリサーチ・アドミニストレーター(RA)の事例を参考にしつつ調査研究を行った。URA調査では、リサーチ・アドミニストレーター協議会年次大会に出席し、参加大学のURAと意見交換を行った。また、東京大学、金沢大学、京都大学、関西大学、広島大学の5大学を訪問し、各大学のURA等と意見交換を行った。URAの能力における特記事項として、関西大学では広告業界やウェブデザイン業界等ノンアカデミック出身のURAが研究広報をサポートしていること、奈良先端科学技術大学院大学では同大学で博士号を取得後に外資系企業で海外事務所の設置等に従事したURAが大学の海外事務所開設に深く関与していたことが挙げられた。配置における特記事項として、東京大学は部局URAを重視していること、東京大学、金沢大学、関西大学、広島大学は事務職員と同じオフィス内にURAを配置し事務職員との交流を意識していることが挙げられた。アメリカのRA調査では、スタンフォード大学のRAと意見交換を行った。また、アメリカのRA向けの研修会”Basics of Research Administration meeting”に参加し、RAのキャリアパスやバックグラウンドについて参加者と意見交換を行った。RAは日本の大学における研究担当事務職員もしくは研究室秘書のような位置づけであり、日本のURAのような業務は外部コンサルタントやリサーチ・アソシエイト(いわゆるポスドク)が担っているとのことであった。日米での調査結果を踏まえた上で、研究代表者が日常業務でかかわっている九州大学の理学系教員及び数理学系教員125人へ支援を受けたい内容についての質問票調査を行ったところ、その結果から今後は支援内容についての因子分析を行っていく必要があることが明らかとなった。
著者
池見 直俊 永田 晃也
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
年次学術大会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.32, pp.900-903, 2017-10-28

一般講演要旨