著者
池野 友基 山田 章貴 顔 邦男 麻田 達郎
出版者
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.130-132, 2015-05-15 (Released:2015-06-19)
参考文献数
8

症例は75歳女性.2年前に経胸壁心エコー図検査で約10 mm大の可動性の左室内腫瘍が認められ手術を勧められていたが拒否し,当科外来通院中だった.1カ月前より目のかすみを訴え,MRIで急性期脳梗塞を指摘され,左室内腫瘍からの塞栓症の疑いで当科紹介となった.左室内腫瘍に対し,経左房アプローチでの腫瘍摘出術を施行した.前乳頭筋に付着する径10 mmの綿毛様の腫瘍を摘出し,病理所見より乳頭状弾性線維腫の確診が得られた.退院後18カ月が経過するが,腫瘍の再発なく良好に経過している.
著者
芳村 直樹 池野 友基
出版者
特定非営利活動法人 日本小児循環器学会
雑誌
日本小児循環器学会雑誌 (ISSN:09111794)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.156-162, 2017-03-01 (Released:2017-05-13)
参考文献数
20

先天性房室弁疾患の外科治療には未解決な問題が多く,challengingな領域である.【先天性僧帽弁膜症】形態異常が多岐にわたること,ほかの心疾患を合併する頻度が高いことから,治療に難渋する疾患群である.弁形成術が第一選択であるが,形成が不可能な高度の病変に対しては人工弁置換術が選択される.弁置換術後は,身体の発育に応じて人工弁のサイズアップが必要となる.【房室中隔欠損症】左側房室弁狭窄を招来することなくいかに逆流を防止するかが問題となる.房室中隔欠損の弁形成の成否は房室弁を左右に正しく分割できるか否かにかかっており,正しい分割が行われないと,弁形成は決して成功しない.【単心室症例に合併する房室弁疾患】房室弁逆流の存在は,Fontan型手術を目指す単心室症例の予後を著しく悪化させる.特に新生児や乳児早期から手術介入を要する高度の房室弁病変の治療は非常に困難である.弁形成術の成績は不良で,症例によっては人工弁置換を選択したほうが良好な結果が得られることもある.【Ebstein病】 2004年,da Silvaらにより報告されたCone reconstructionは術直後から遠隔期まで,三尖弁逆流が良好に制御され,今後,本疾患に対する標準術式となることが期待される.