著者
池野 友基 山田 章貴 顔 邦男 麻田 達郎
出版者
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.130-132, 2015-05-15 (Released:2015-06-19)
参考文献数
8

症例は75歳女性.2年前に経胸壁心エコー図検査で約10 mm大の可動性の左室内腫瘍が認められ手術を勧められていたが拒否し,当科外来通院中だった.1カ月前より目のかすみを訴え,MRIで急性期脳梗塞を指摘され,左室内腫瘍からの塞栓症の疑いで当科紹介となった.左室内腫瘍に対し,経左房アプローチでの腫瘍摘出術を施行した.前乳頭筋に付着する径10 mmの綿毛様の腫瘍を摘出し,病理所見より乳頭状弾性線維腫の確診が得られた.退院後18カ月が経過するが,腫瘍の再発なく良好に経過している.
著者
久野 克也 顔 邦男 沢村 敏郎 築部 卓郎 岡田 昌義 横山 直樹 野間 大路 上谷 良行 中村 肇
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.692-695, 1992-04-15 (Released:2011-10-07)
参考文献数
14
被引用文献数
1

出生前診断の進歩により臨床応用されるようになった胎児手術のバックアップシステムとして, 胎児水中保育の実験を行った。ザーネン種ヤギ胎仔(平均在胎126日)の臍帯動静脈に挿管し, A-Vシャントとした。0.5m2シリコン膜型肺を組み込んだ小児用ECMOポンプで灌流を行い, 胎仔は人工羊水中で管理した。胎仔7頭に4~109時間の灌流を行い, 血行動態及び血液ガスについて検討を加えた。カラードップラー法により循環動態を観察したところ, 動脈管・卵円孔ともに灌流中の開存が確認された。また, ECMO流量と胎仔血行動態の関係では, 流量100ml/kg/分で胎仔酸塩基平衡が安定するとされる14ml/kg/分の酸素供給量を確保することができた。酸素消費量もECMO流量増加に伴って増え, 流量100ml/kg/分をこえるとほぼ安定した。胎仔に対するA-V ECMOにおいても, 新生児V-A ECMOに匹敵する100ml/kg/分の流量が必要と考えられた。