著者
金子 正大 南川 哲寛 谷口 英史 山田 恭弘 中村 潤 沖原 宏治 中内 博夫
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.107, no.1, pp.44-47, 2016-01-15 (Released:2017-01-27)
参考文献数
10

精巣鞘膜悪性中皮腫の一例を報告する.93歳,男性.主訴は有痛性の右陰嚢腫大.石綿暴露歴なし.超音波検査およびMRI検査にて右陰嚢水腫の診断.陰嚢水穿刺細胞診にて,中皮細胞を認めるも異型性に乏しく明らかな悪性所見を認めず,classIIIaであった.右陰嚢水腫根治術を施行したところ,切除標本の組織診断にて上皮型の精巣鞘膜悪性中皮腫を認め,追加治療としてdartos筋膜を全周性に付けて右高位精巣摘除術を施行した.術後6カ月時点で再発を認めない.精巣鞘膜悪性中皮腫は稀な疾患で,術前の正診率は低い.急速増大する血性の陰嚢水腫や精巣固有鞘膜から生じた腫瘤を認めた際は悪性中皮腫の可能性を考慮すべきである.予後不良の疾患であり,二期的手術となっても高位精巣摘除術を行う必要がある.