著者
沢口 敦史 佐藤 導謙
出版者
日本作物學會
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.505-509, 2001 (Released:2011-03-05)

春播コムギの初冬播において、根雪前20-25日に播種すれば越冬が良好であることを既報で示した。本報では初冬播栽培において春播栽培よりも安定的に多収を確保する技術として、発芽抑制剤と播種量について検討した。発芽抑制剤試験では、薬剤により越冬後の出芽個体数を増加させ、早期播種においても多収のコムギを生産することが可能な剤が認められた。また試験結果から、最大収量の95%以上を得るためには、178個体m-2以上の生存個体が必要であると判断された。播種量試験では、播種量を春播栽培の標準量(340粒m-2)、1.5倍あるいは2倍量を検討した。播種量を増やしても穂数は増えるが穂長と千粒重がやや低下し、収量は標準量播種量とほぼ同じであった。越冬率は越冬可能な播種時期においても40%~89%であった。これらより、最大収量の95%を得るためには、必要生存個体数178粒を最低の越冬率である40%で除して得られたm2当たり445粒が播種量として適正であり、これ以上は収量増加に効果的でないと判断された。
著者
沢口 敦史 佐藤 導謙
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.505-509, 2001-12-05
被引用文献数
6

春播コムギの初冬播において,根雪前20-25日に播種すれば越冬が良好であることを既報で示した.本報では初冬播栽培において春播栽培よりも安定的に多収を確保する技術として,発芽抑制剤と播種量について検討した.発芽抑制剤試験では,薬剤により越冬後の出芽個体数を増加させ,早期播種においても多収のコムギを生産することが可能な剤が認められた.また試験結果から,最大収量の95%以上を得るためには,178個体m^<-2>以上の生存個体が必要であると判断された.播種量試験では,播種量を春播栽培の標準量(340粒m^<-2>),1.5倍あるいは2倍量を検討した.播種量を増やしても穂数は増えるが穂長と千粒重がやや低下し,収量は標準量播種量とほぼ同じであった.越冬率は越冬可能な播種時期においても40%〜89%であった.これらより,最大収量の95%を得るためには,必要生存個体数178粒を最低の越冬率である40%で除して得られたm^2当たり445粒が播種量として適正であり,これ以上は収量増加に効果的でないと判断された.