著者
沢水 男規
出版者
京都大学大学院人間・環境学研究科
雑誌
人間・環境学 (ISSN:09182829)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.47-58, 2018

本論文は怪獣映画『ガメラ3邪神<イリス>覚醒』(1999年)における京都の表象について論じるものである. 第一節では本作において怪獣たちが京都の街並みをどのように破壊しているかを分析し, 本作における京都の破壊が他の都市の破壊よりも小さい規模で描かれていることを示す. 第二節では他の映画作品を参照し, 特撮映画というジャンル全般における京都の表象の特徴を見出す. 第三節では京都という都市に対して本作の作り手が抱いていた「京都らしさ」の実態を考察し, 本作における京都の表象に偏りが生じた要因を明らかにする. 本作における京都の表象は, 怪獣映画における都市の破壊, および映画における京都の表象に関する議論の中で従来十分に論じられてこなかった. 本論文は映画における京都の表象に関する議論を発展させ, 新たな視座を加えることを試みる.