著者
河上 雄紀 沼田 恵太郎 大野 裕史
出版者
日本不安症学会
雑誌
不安症研究 (ISSN:21887578)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.38-45, 2021-11-30 (Released:2022-01-14)
参考文献数
17

本研究では,他者の視線検出に関する注意バイアスについて,社交不安の観点から検証を行った。社交不安の高い者は,他者の視線方向への注意バイアスを示すと仮定した。社交不安:高群(n = 30)および社交不安:低群(n=29)に対し,多数の妨害刺激の中から直視またはよそ見の視線刺激を検出することを求めた(stare-in-the-crowdパラダイム)。その結果,直視視線の検出速度が両群で類似していることが示された。ただし,社交不安:高群は,よそ見視線の速やかな検出を示した。これらの知見は,社交不安が,よそ見よりも直視を優先的に検出するという注意バイアスを弱めることを示唆している。最後に,社交不安の機能と今後の研究の方向性について議論した。