著者
武藤 崇 境 泉洋 大野 裕史
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
認知行動療法研究 (ISSN:24339075)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.89-97, 2020-05-31 (Released:2020-10-23)
参考文献数
34

本稿の目的は、1)福祉分野における心理学的支援を再考し、2)当該分野における心理学的支援の独自性を明確にし、さらに3)当該分野における認知・行動療法的な公認心理師に必要と考えられるアプローチを提案することである。当該のアプローチとは「行動福祉」(望月,1993)である。また、行動福祉に含意されている生態・行動的視点の具体例として、環境のエンリッチメント、非随伴強化、“動機づける”操作が挙げられた。
著者
大野 裕史
出版者
埼玉短期大学
雑誌
学校法人佐藤栄学園埼玉短期大学研究紀要 (ISSN:13416006)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.47-56, 1996-03-22

マスターベーションの頻発により、適切行動の形成が困難な症例に対して、感覚消去手続きを用いた。指導経過から、マスターベーションは刺激性制御を受けており、指導室という刺激下での制御が形成途中であった可能性を指摘した。また結果の妥当性を検討した結果、変化量は十分であり、マスターベーションの減少に伴い適切な反応が増大した。
著者
藤原 直子 大野 裕史 日上 耕司 佐田久 真貴
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.383-392, 2012 (Released:2013-09-18)
参考文献数
20
被引用文献数
1

本研究は、発達障害児の親に対するペアレント・トレーニングにスタッフとして参加した大学院生のうち、親面接を担当した5名を対象に、参加後の変容について検討した。親面接担当スタッフは、事前にペアレント・トレーニングに関する学習や演習を行い、実際のペアレント・トレーニングでは親への講義やグループワークにおける面接を担当した。ペアレント・トレーニング参加後、子育て支援に対する効力感に関して、託児担当スタッフには変化がみられなかったが、親面接担当スタッフは5名中3名で有意に向上し、「育児不安に対する支援」と「支援環境の整備」は5名全員に向上が認められた。また、面接の進め方に対する親からの評価が高くなり、スタッフの面接技術や話し方が変化したと推察された。これらの結果から、ペアレント・トレーニングにスタッフとして参加し、親への講義や面接を行うことが、発達障害児の親および子育てに対する支援者を養成する一助となる可能性が示唆された。
著者
大野 裕史 内山 博之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.506, pp.53-56, 2007-01-19
被引用文献数
1

鳥類の向網膜神経核(ION)の向網膜ニューロン(IOニューロン)は,軸索突起を対側網膜に投射しており,網膜出力の注意による調節に関係していると示唆されている.我々は可動式金属電極をION埋め込み頭部無拘束ウズラのIOニューロンの活動を記録した.同時に高速度カメラ(100fps)と加速度センサを用いて頭部運動を記録し,頭部の運動や開眼開眼によるIOニューロンの活動の変化を観測した.その結果,IOニューロンの発火には光刺激に誘発される受動的な活動と特定の方向への頭部運動に先行する能動的な活動が存在することがわかった。受動的な活動によって受容野をマップすることができる.能動的な活動は,その受容野のある方向へ嘴を向けるような頭部サッカードの0-200ms前に起こる.これらの結果に基づき,IOニューロンの機能的意義について考察する.
著者
藤原 直子 大野 裕史 日上 耕司 久保 義郎 佐田 久真貴 松永 美希
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.159-173, 2010-06-30 (Released:2019-04-06)
被引用文献数
6

本研究では、「気になる子」を担任する幼稚園教諭(コンサルティ)に対する集団コンサルテーションプログラムを作成・実施し、その効果を検討した。6名のコンサルティに対して全6回(フォーローアップ1回を含む)のプログラムを実施し、行動の見方や対応方法を応用行動分析学に基づき教授した。また、グループワークにおいては、コンサルティが行った「気になる子」の観察記録をもとに対応方法を検討した。その対応をコンサルティが実践した結果、対象児の行動に改善がみられた。さらに、コンサルティが子どもに対応する際に感じるストレスが軽減し、保育者としての効力感が向上した。満足度アンケートによる評価も高く、このコンサルテーションの内容は、幼稚園において実施可能であり、その対応方法は「気になる子」の支援に有効であることが示唆された。
著者
河上 雄紀 沼田 恵太郎 大野 裕史
出版者
日本不安症学会
雑誌
不安症研究 (ISSN:21887578)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.38-45, 2021-11-30 (Released:2022-01-14)
参考文献数
17

本研究では,他者の視線検出に関する注意バイアスについて,社交不安の観点から検証を行った。社交不安の高い者は,他者の視線方向への注意バイアスを示すと仮定した。社交不安:高群(n = 30)および社交不安:低群(n=29)に対し,多数の妨害刺激の中から直視またはよそ見の視線刺激を検出することを求めた(stare-in-the-crowdパラダイム)。その結果,直視視線の検出速度が両群で類似していることが示された。ただし,社交不安:高群は,よそ見視線の速やかな検出を示した。これらの知見は,社交不安が,よそ見よりも直視を優先的に検出するという注意バイアスを弱めることを示唆している。最後に,社交不安の機能と今後の研究の方向性について議論した。