著者
河内 伸夫
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.43-53, 1976-01-01 (Released:2008-12-24)
参考文献数
31
被引用文献数
1

中国山地の穿入蛇行の分布,蛇行の波長と流域面積との関係,穿入蛇行の成因,地質との関係を検討したが,結果は以下のようである. 1) 穿入蛇行には侵蝕平坦面自体を刻むタイプと,侵蝕平坦面の境界付近に発達するタイプがあり,前者は掘削蛇行ないし生育掘削蛇行を示しており,侵蝕平坦面上の自由蛇行より受け継がれた可能性が高い.後者は一般に生育蛇行を示し,必ずしも自由蛇行から受け継がれたと考える必要はない. 2) 穿入蛇行の波長と流域面積との関係は,欧米とほぼ同じであるが,穿入蛇行と自由蛇行の波長の関係は,中国山地に気候変化による明白な無能河流がないことを示す. 3) 古生層地域と花崩岩地域の穿入蛇行を比較すると,谷幅,攣曲度とも一般に前者の方が小さく,またより規則的で滑らかな彎曲を描いている.