著者
菅間 誠之助 西谷 尚道 河内 邦英
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.70, no.10, pp.739-742, 1975-10-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
9

本格焼酎の貯蔵過程での成分変化を調べた結果, 次の知見が得られた。1. 貯蔵年数を異にする泡盛の成分を調べた結果, 高級脂肪酸数が貯蔵中に減少し, 数種の成分が増加していた。2. 室温で7カ月間びん貯蔵した甘藷製および米製焼酎24点について油臭のつよさを官能試験により比較し, 油臭の強い試料と弱い試料にわけ, それぞれの香気成分のガスクロマトグラムを比較した結果, 油臭の強い試料はリノール酸エチルが相対的に少なくジある成分ピーク (e成分と称す) が増加していることを認めた。3.高級脂肪酸類を使ったモデル系について, 日光照射, 加熱, 酸化剤処理による変化を調べた結果, e成分の前駆物質はリノール酸エチルであることがわかった。4. e成分の生成条件を検討した結果, リノール酸ニチルが空気中の酸素により, 比較的温和な条件で酸化された場合に生成することを確認した。5. リノール酸エチルの酸化物をTLCで分画し, これを焼酌に添加して官能試験をした結果, 油臭のつよさは添加量にほぼ比例した。したガミって, e成分が油臭物質を代表する一成分であると推定した。