著者
菅間 誠之助
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.88, no.5, pp.374-380, 1993-05-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
16
被引用文献数
1

中国酒には穀類を粉砕して水を加え固めたものにカビを生育させた曲が, 一方, 清酒には蒸した米粒で造られるバラ麹が用いられるというのが, これまでの常識であった。バラ麹が昔から現在に至るまで使われていることは, 中国が近くて遠い, また, 実に広大な国であることを実感させる。
著者
菅間 誠之助
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.70, no.11, pp.765-770, 1975-11-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
20

焼酎はどこから来たか。南の島沖縄を経て南九州に上陸し, ほとんどそこに定着した感がある。すなわち焼酎の製造, 消費は鹿児島, 宮崎, 熊本の三県にかたよっているが, その歴史は古く, 近代に至って自家製造から企業へと, 済酒業界に似た種々の試練を経て今日に至っている。民族の蒸溜酒たる焼酎は最近識者間にブームを呼び起こし, 年々県外移出数量も50%前後の伸びを示している。
著者
菅間 誠之助
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.9, pp.927-935, 1967-09-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
27

本特集に取り上げた「酒造場の汚染」が, 酒造場のこうじ, 酒母, モロミあるいは空気の「微生物的なヨゴレ」を意味することを, 最初にお断わりしておこう。さて, モロミで酸が増す, ボーメの切れが悪い, どうも酒質が鈍重で香りが良くない… これらの原因の一部あるいは大部分が「酒造場の汚染」にあることが最近はっきりしてきた。「汚染がなぜ, どのように起こるか?」この重大な問題を, 筆者は豊富なデータと広い知識をもとに, 明快に, かつ大胆に解き明かしてくれている。
著者
菅間 誠之助 岡崎 直人
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.77, no.3, pp.145-151, 1982-03-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
20

溝酒醸造において重要な地位を占めながら, 科学的な管理という面でやや遅れているのが麹づくりである。本稿はその最大の障害とされていた麹菌の増殖を定量的にとらえ, そこでえられた知見を解説したものである。麹づくりの科学的な管理へのよい道しるべとなろう。
著者
菅間 誠之助 西谷 尚道 河内 邦英
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.70, no.10, pp.739-742, 1975-10-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
9

本格焼酎の貯蔵過程での成分変化を調べた結果, 次の知見が得られた。1. 貯蔵年数を異にする泡盛の成分を調べた結果, 高級脂肪酸数が貯蔵中に減少し, 数種の成分が増加していた。2. 室温で7カ月間びん貯蔵した甘藷製および米製焼酎24点について油臭のつよさを官能試験により比較し, 油臭の強い試料と弱い試料にわけ, それぞれの香気成分のガスクロマトグラムを比較した結果, 油臭の強い試料はリノール酸エチルが相対的に少なくジある成分ピーク (e成分と称す) が増加していることを認めた。3.高級脂肪酸類を使ったモデル系について, 日光照射, 加熱, 酸化剤処理による変化を調べた結果, e成分の前駆物質はリノール酸エチルであることがわかった。4. e成分の生成条件を検討した結果, リノール酸ニチルが空気中の酸素により, 比較的温和な条件で酸化された場合に生成することを確認した。5. リノール酸エチルの酸化物をTLCで分画し, これを焼酌に添加して官能試験をした結果, 油臭のつよさは添加量にほぼ比例した。したガミって, e成分が油臭物質を代表する一成分であると推定した。