著者
河原 梓水
出版者
大阪大学大学院文学研究科臨床哲学研究室
雑誌
臨床哲学ニューズレター
巻号頁・発行日
no.3, pp.148-171, 2021-03-31

特集5 「第2回 臨床哲学フォーラム(規範の外の生と知恵) : テーマ「BDSM をとりまく生の営み:ケアとは何か?」
著者
河原 梓水
出版者
Antitled友の会
雑誌
Antitled (ISSN:24367672)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.107, 2023-03-27 (Released:2023-04-04)
著者
河原 梓水
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究はこれまで研究対象とされてこなかったアブノーマル性風俗雑誌『奇譚クラブ』の1950年代のテクスト群を主たる分析対象とし、サドマゾヒズムを媒介とすることで行われた近代化論・反近代化論の展開を明らかにすることを目的とする。本年度は、研究実施計画に基づき、第2の課題に関する検討を進めた。年度前半は前年度に収集した『あまとりあ』、『生心リポート』、『夫婦生活』、「キンゼイ報告」に言及する雑誌記事等と、ヨーロッパ精神医学の動向を照らし合わせ分析を行なった。来年度は本成果を論文として取りまとめる予定である。次に、これまでに明らかにした村上信彦によるサディズム論が、1980年代以降米国で展開したフェミニスト・セックス戦争におけるいくつかの論点を大幅に先取りしていることを踏まえ、米国で最も大きな争点の1つであった女性のマゾヒズムについて、村上がいかに論じているのかを検討し、その議論に対するマゾヒストからの批判を分析した。論文としてとりまとめ、現在査読の過程上にある。上記の検討から、村上は愛好当事者でありながら、サディズムを野蛮な原始本能、女性のマゾヒズムを抑圧によって生じた病とみており、サディズム・女性のマゾヒズムがいずれも前近代性と結びついていたことが明らかになった。サディズムとマゾヒズムはフロイト学説以降しばしば一対の概念とみなされてきたが、戦後日本においては全く起源の異なるものと理解されていた。とするならば、加害行為ではなく、封建制の残滓でもない男性のマゾヒズムは、これらとは根本的に異なる概念であったと考えられる。そこで次に、戦後の男性にとって、マゾヒズム概念とはいかなる役割を果たしていたのかという点について、沼正三「家畜人ヤプー」の分析を通じて検討した。本成果は論文集の1章として執筆し、現在印刷中である。
著者
河原 梓水
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2017-04-26

本研究は、日本におけるサドマゾヒズム概念の受容期に関する歴史的・思想史的研究である。本年度は、社会心理学における暴力論を検討しつつ、フィールドワークを行なった。今年度も、ドイツ国ベルリン市・ベルリン自由大学東アジア研究所を拠点として研究活動を行ない、論文1本、解説記事1本の執筆、1度の国際会議での発表、2度の招待講演を行った。 文献の収集・検討に加えて、ベルリン市およびその近郊における、性的マイノリティーに関する史跡や博物館の調査・見学、同市に所在するSMスタジオ、愛好者コミュニティサークルにおけるフィールドワーク、プロのドミナトリクスとして活動しているSM愛好家へのインタビュー調査などを行った。これらの調査において、日独において性的マイノリティーが置かれた歴史的状況の相違を確認するとともに、現代SMカルチャーのSNSにおける展開、安全性のためのガイドラインに対する様々な考え方、ヨーロッパ全体におよぶ愛好家のコミュニティーのあり方、そしてドイツにおけるLGBTIQの社会的受容についての知見を得、日本の歴史的状況の相対化を行なった。