著者
林田 真志 河野 そらみ 河原 麻子
出版者
広島大学大学院教育学研究科附属特別支援教育実践センター
雑誌
広島大学大学院教育学研究科附属特別支援教育実践センター研究紀要 = The bulletin of the Center for Special Needs Education Research and Practice, Graduate School of Education, Hiroshima University (ISSN:18835406)
巻号頁・発行日
no.16, pp.1-8, 2018-03

小学校の難聴特別支援学級で指導を担当している教員を対象として、自立活動の実態と課題を明らかにすることを目的として質問紙調査を実施した。回答者のうち、特別支援学校教諭免許状(聴覚障害教育領域)保有者は11.8%にとどまった。先行研究でも報告されたとおり、多くの学級内で使用されている主たるコミュニケーション手段は音声言語であった。在籍児童が抱える学校生活上の困難として多く回答されたのは、「語彙について」「やりとりの確実さ」であった。回答者が在籍児童と関わる際に苦慮することについては、「自身の難聴に関する知識が十分でないと感じる」「手話や指文字を使いたいが十分に使えない」「児童間の人間関係が十分に形成できていない」という回答が多くみられた。回答者が自立活動において指導経験のある内容については、読み書きや発音・発語、人間関係の形成に関するものが多かった。自立活動の指導内容を精選及び指導する際に苦慮することについては、「指導したい内容に関する知識や技量が追い付かない」という回答が最も多く、難聴特別支援学級担当教員の専門性に関する課題が改めて示された。