著者
河口 謙二郎 横山 芽衣子 井手 一茂 近藤 克則
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.79-89, 2022-01-25 (Released:2022-03-08)
参考文献数
31
被引用文献数
2

目的:高齢者の運動習慣定着に有効な運動プログラムのあり方を検討するために,民間スポーツクラブを利用する高齢者を対象にグループでの運動の実践と運動の継続との関連を明らかにすることを目的とした.方法:2017年6月から2019年3月にかけてリソルの森の健康増進プログラム(ウェルネスエイジクラブ)に6カ月以上参加した65歳以上の227人(女性117人,男性110人)を分析対象とした.半年に1回の質問紙調査,体力測定,年1回の健康診断,及び個人の参加プログラムや参加日時のデータを分析に用いた.24週以上に渡る平均週2日以上の運動プログラム参加を「運動プログラム継続」,平均週1回以上のグループプログラムへの参加を「グループプログラム参加」と定義し,グループプログラム参加と運動プログラム継続との関連をポアソン回帰分析により検証した.結果:グループプログラム参加者は,非参加者に比べて運動プログラムを継続する可能性が高かった(Prevalence ratio=3.63[95% CI:1.98~6.65],p<0.01).性で層化しても,女性(8.08[1.94~33.56],p<0.01),男性(2.84[1.39~5.78],p<0.01)ともにグループプログラム参加と運動プログラム継続に有意な正の関連が認められた.結論:本研究は,民間スポーツクラブに通う高齢者において,グループによる運動プログラムは参加者同士の社会的交流やつながりを増やし運動継続を促進する可能性があることを明らかにした.高齢者のグループ運動への参加を促進することで運動継続者が増加する可能性が示唆された.