著者
片桐 崇行 大久保 禎 及川 みどり 二木 希世子 釈 政雄 河合 充夫 竹ノ内 正紀
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.42-49, 2001-03-20 (Released:2010-08-06)
参考文献数
11
被引用文献数
8 11

より効果の高い美白剤を開発する目的で, メラニン産生にかかわるチロシナーゼとTRP-1の活性阻害に着目して研究を行った。その結果見出した4-n-ブチルレゾルシノール (以下BRと略す) は, 強力なチロシナーゼ活性阻害作用に加えTRP-1活性阻害作用も併せ持っていた。BRは細胞毒性によらずB16マウスメラノーマ細胞のメラニン産生を可逆的に抑制し、その力価は広く美白剤として応用されているアルブチン・コウジ酸より強力であった。0.3% BR配合ローションは, ヒト紫外線色素沈着に対し, 照射前から塗布した系で有意な抑制作用を示すとともに, 色素沈着が認められた後から塗布を開始した系においても, 有意な色素沈着消退促進作用を示した。また, 449名の健常女性を対象とした1ヵ月間の使用試験においてもシミ・ソバカスに対する有効性が認められたことから, BRは優れた効果の期待できる美白剤であると考えられた。さらには肝斑を対象とした臨床試験においても83.9% (52/62例) にやや有用以上の有用性が認められたことから, 肝斑に対する臨床的な応用も期待される。