著者
酒井 裕二 竹ノ内 正紀 阿部 正彦
出版者
色材協会
雑誌
色材協會誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.47-52, 2000-02-20
参考文献数
12
被引用文献数
1

化粧品クレンジング油として注目されているテトラオレイン酸ジグリセロール (DGTO) と汎用の油である流動パラフィン, トリ-2-エチルヘキサン酸グリセロール (GTE) との乳化特性が比較検討された。<BR>その結果, DGTOを用いた場合, 水よりも油の含有量が多い系においてさえも分散媒が水であるO/Wm系やWm相が形成しやすいことがわかった。また, 水と油の界面張力値は, DGTOを用いた場合が最も小さかったために, 用いた他の2種類の油ほど界面活性剤の添加効果は認められなかった。さらに, 小角X線散乱測定を行ったところ, DGTO分子は液晶間にほとんど溶解されず, 微小の液滴として存在していることがわかった。これらの特性は, DGTO分子がもつ大きな有機性値と無機性値に起因することが示唆された。
著者
片桐 崇行 大久保 禎 及川 みどり 二木 希世子 釈 政雄 河合 充夫 竹ノ内 正紀
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.42-49, 2001-03-20 (Released:2010-08-06)
参考文献数
11
被引用文献数
8 11

より効果の高い美白剤を開発する目的で, メラニン産生にかかわるチロシナーゼとTRP-1の活性阻害に着目して研究を行った。その結果見出した4-n-ブチルレゾルシノール (以下BRと略す) は, 強力なチロシナーゼ活性阻害作用に加えTRP-1活性阻害作用も併せ持っていた。BRは細胞毒性によらずB16マウスメラノーマ細胞のメラニン産生を可逆的に抑制し、その力価は広く美白剤として応用されているアルブチン・コウジ酸より強力であった。0.3% BR配合ローションは, ヒト紫外線色素沈着に対し, 照射前から塗布した系で有意な抑制作用を示すとともに, 色素沈着が認められた後から塗布を開始した系においても, 有意な色素沈着消退促進作用を示した。また, 449名の健常女性を対象とした1ヵ月間の使用試験においてもシミ・ソバカスに対する有効性が認められたことから, BRは優れた効果の期待できる美白剤であると考えられた。さらには肝斑を対象とした臨床試験においても83.9% (52/62例) にやや有用以上の有用性が認められたことから, 肝斑に対する臨床的な応用も期待される。