著者
桜井 宏紀 河合 利温 武田 享
出版者
岐阜大学
雑誌
岐阜大学農学部研究報告 (ISSN:00724513)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.127-131, 1988-12-25

ナミテントウの休眠の生理的特徴を知るため,飼育個体と野外採集個体について休眠に伴う生理的変化を検討した。飼育個体の観察では,夏期に第1世代成虫の呼吸量は低下するが,生体重の増加と活発な産卵行動がみられたことから,本種は夏眠しないことが確かめられた。一方,冬期には第2世代成虫の呼吸量及び生体重は減少し,生殖活動も全くみられず,成虫は休眠状態に入った。野外採集個体の観察では,第2世代成虫の卵巣は3月まで全く発育がみられなかったが,幼若ホルモン物質を越冬個体に塗布処理したところ,卵巣がただちに発育し産卵がみられた。このことから,本種の冬眠はアラタ体の活性低下に起因する真の休眠であることが示唆された。