著者
飯田 年以 菅原 美郷 小野 隆之 河合 江理子
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.100-107, 2013-06-20 (Released:2015-08-25)
参考文献数
16

肌のざらつきは,若年層を中心として悩み項目の上位に挙げられるが,その正体は詳細に検討されていなかった。20~30代前半の女性の額部を観察したところ,ニキビがよくできる人にぶつぶつとした触感の小さなふくらみがあり,これを「ざらつき」と感じていることを見出した。このざらつきの構造を機器分析するとともに,触感で認識,マークして計測を行う評価法を用い,個数や変動,肌状態との関連を調べた。その結果,ざらつきは毛穴に一致した肌色の盛り上がりを持つ「小さなコメド (面皰) 」であった。これはニキビとは認識されていないごく初期段階のもので,肌の伸展や光の当て方で認識できる“missed comedones”に相当すると想定された。短期間に形成または消失することで,全体として数が周期的に変動していた。また,ざらつき数の多い人は皮脂量が多かった。以上より,ざらつきの改善には明らかな面皰や炎症性コメドと同様に過剰皮脂と角層のターンオーバー制御が重要と考えられ,有効成分としてサリチル酸とトラネキサム酸配合の化粧水製剤を開発した。ヒト連用試験の結果,額部のざらつきの減少とともに,アンケートでざらざら感減少やなめらかさ向上が認められた。