著者
城戸 真希子 河崎 玲子 細川 知聡 行徳 隆裕 今山 修平
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.114, no.12, pp.1911-1916, 2004

病室の滅菌にはUVC領域の波長254 nmを放射する紫外線殺菌灯(クリーンライザー<sup>®</sup>)が広く用いられているが,その危険性のため本装置は無人状態下の使用が原則である.このたび病室に患者と家族が居る病室で本装置が約30分間作動する事態が発生した.そのうちの一人は暴露側の眼の刺激感と頬部のひりつき感を訴え,以降次第に頬の紅斑は鱗屑を形成し脱落した.同じ装置により照射実験を行ったところ,UVC照射24時間後すでに走査電顕的に角層細胞表面には蛋白変性によると思われる陥凹が生じており,経過と共にケラチンによる紋様は著しく不規則になって脱落した.UVCはDNAに吸収されるため,従来,UVC照射により最初は有核細胞が障害を受け,その変化が次第に角層におよぶとされてきたが,24時間後には既に角層細胞に変化がみられたことから,UVCはケラチンなどの細胞質内蛋白にも直接に影響を及ぼすものと考えた.