著者
濱田 学 行徳 隆裕 佐藤 さおり 松田 哲男 松田 知子 絹川 直子 古江 増隆
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.213-218, 2008
被引用文献数
8

アトピー性皮膚炎(以下:AD)にとってかゆみはきわめて重要な臨床症状であり,掻破による皮疹の増悪が問題となる。そこで今回,精製ツバキ油100%のツバキ油スプレー(アトピコ<SUP>&reg;</SUP>スキンヘルスケアオイル)を用いて,AD患者のかゆみに対する即時的な軽減効果,及びその保湿効果を副次的に検討した。AD患者39例を対象にツバキ油スプレー(以下:ツバキ油)または対照製剤として精製水スプレー(以下:精製水)を各々2週間使用させ,二重盲検&middot;クロスオーバー比較試験を実施した。その結果,ツバキ油使用群は精製水使用群と比較して有意にかゆみを軽減する効果が認められた(p<0.01)。また,ツバキ油使用群は精製水使用群と比べ,有意な保湿効果が認められた(p<0.01)。使用感アンケートでは,スプレータイプの使用しやすさについて,両群ともに「使用しやすい」が73.0%で両群間に差はなかった。しっとり感が「ある」についてはツバキ油使用群が61.5%,精製水使用群が23.1%であり,ツバキ油スプレーはしっとり感があり,使用感にすぐれた保湿&middot;保護剤であることが示唆された。副作用は全症例で1例もなかった。重症度,副作用,使用アンケート(止痒効果,保湿効果,使用感)を総合評価した有用性では,やや有用以上がツバキ油使用群で71.8%,精製水使用群で41.0%と両群に有意な差を認めた(p<0.01)。以上から,ツバキ油スプレーはAD 患者の有するかゆみに対して即時的な軽減効果及び保湿効果が期待でき,日常のスキンケアにおいて安全に使用できるスキンケア剤であると考えられた。
著者
城戸 真希子 河崎 玲子 細川 知聡 行徳 隆裕 今山 修平
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.114, no.12, pp.1911-1916, 2004

病室の滅菌にはUVC領域の波長254 nmを放射する紫外線殺菌灯(クリーンライザー<sup>®</sup>)が広く用いられているが,その危険性のため本装置は無人状態下の使用が原則である.このたび病室に患者と家族が居る病室で本装置が約30分間作動する事態が発生した.そのうちの一人は暴露側の眼の刺激感と頬部のひりつき感を訴え,以降次第に頬の紅斑は鱗屑を形成し脱落した.同じ装置により照射実験を行ったところ,UVC照射24時間後すでに走査電顕的に角層細胞表面には蛋白変性によると思われる陥凹が生じており,経過と共にケラチンによる紋様は著しく不規則になって脱落した.UVCはDNAに吸収されるため,従来,UVC照射により最初は有核細胞が障害を受け,その変化が次第に角層におよぶとされてきたが,24時間後には既に角層細胞に変化がみられたことから,UVCはケラチンなどの細胞質内蛋白にも直接に影響を及ぼすものと考えた.