著者
河本 しげ美
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.81, 2009

〈はじめに〉在宅を一人で訪問している私達は,活動中に<BR>災害が起きた時も一人で判断し,行動しなければならな<BR>い。災害現場で冷静に行動し,利用者と看護師自身の安全<BR>が確保できるよう,災害に備えて日々活動を行ってきた。<BR>その結果,利用者の防災に対する認識が高まり,また看護<BR>師の意識改革ができたので報告する。<BR>〈方法〉平成17年より定例カンファレンスで防災部会を開<BR>催し,以下のことを実践した。<BR>(1)利用者に「災害時に備えて」(記入用紙)を配布し,啓<BR>蒙活動を実施。<BR>(2)医療機器等,生命に関わるものの使用状況一覧表を作<BR>成。<BR>(3)防災マニュアルを作成。<BR>(4)所内に災害時チェックリストを掲示。<BR>(5)各公用車に防災グッズを常備。<BR>〈結果〉<BR>1.「災害時に備えて」を配布したことで,<BR>(1)利用者・家族の防災に対する考え方が理解できた。<BR>(2)連絡先や非難場所等の情報を収集することができた。<BR>(3)持ち出し物品等の準備ができた。<BR>2.防災部会で検討した事項によって<BR>(1)看護師も災害時をイメージすることができた。<BR>(2)防災に対する認識が高まった。<BR>〈考察〉利用者の防災に対する認識は様々であったが,意<BR>識していなかった利用者も,積極的な啓蒙活動によって防<BR>災を意識するようになったと思われる。また,看護師が意<BR>識をもって訪問することにより,利用者及び家族の認識に<BR>変化をもたらし,安心感につながったと思われる。啓蒙活<BR>動を拒否した利用者においては,現実感がない,諦め等の<BR>思いがあるのではないかと推測されるが,今後更に心理状<BR>態を分析していく必要があると思われる。<BR>〈おわりに〉「万が一」に備え,普段からの心がけが大切<BR>である。今後も定期的に防災部会を開催し,防災に対する<BR>活動を継続していく必要があると思われる。<BR>