- 著者
-
真崎 茂法
河本 俊
- 出版者
- 一般社団法人 日本臨床栄養代謝学会
- 雑誌
- 学会誌JSPEN (ISSN:24344966)
- 巻号頁・発行日
- vol.2, no.4, pp.252-261, 2020 (Released:2021-04-02)
- 参考文献数
- 45
【背景】嚥下障害を有する高齢者に対する胃瘻からの経管経腸栄養(以下,胃瘻栄養と略)と中心静脈栄養の長期アウトカムの比較を行った.【対象・方法】2014年からの3年間で胃瘻栄養もしくは中心静脈栄養を開始した症例を対象とし,傾向スコアマッチングを行い主要アウトカムを生存期間,副次アウトカムを経口摂取回復,在宅復帰,重症肺炎,敗血症とした.【結果】253例(胃瘻栄養180例,中心静脈栄養73例)を同定し,それぞれ55例ずつにマッチングされた.生存期間中央値は胃瘻栄養群317日,中心静脈栄養群195日,ハザード比0.60(95%信頼区間,0.39-0.92;p=0.019)であった.重症肺炎は胃瘻栄養群に多く(50.9% vs 25.5%,p=0.010),敗血症は中心静脈栄養群に多かった(10.9% vs 30.9%,p=0.018).【結語】胃瘻栄養は中心静脈栄養に比べ有意に長い生存期間と敗血症のリスク低下をもたらすが,重症肺炎は有意に多かった.