著者
堀井 憲爾 原田 達哉 河野 照哉 河村 達雄 小崎 正光 赤崎 正則
出版者
名古屋大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1985

IMV交流送電の次の高電圧電力技術の基盤となるべき4つのテーマについて協同実験及び各個研究により、総合的検討が行われ次のような成果が得られた。1)超々高圧架空送電の研究として、2MV交流および1MV直流について、線路気中絶縁の問題、特に開閉サージフラッシオーバとコロナ・イオン流などの環境問題について協同実験による検討が行われ、絶縁・環境の両面からみて、1MV直流送電の方が開発の実現性が高いことが示唆された。2)架空送電に代わる新送電システムの研究として、しゃへい導体大気送電は、建屋内に電線を収納することにより、絶縁の縮少化・高信頼化ができ、環境問題にも対処できること、また、地中洞道内に電線を引込む方式と共に、架線空間に大気圧の【SF_6】ガスまたは空気との混合ガスを封入することにより新しい大容量の超高圧送電線を実現できる可能性が協同実験で示された。また、新しい地中ケーブルとして、押出しポリエチレン絶縁に【SF_6】ガスを含浸する方式、及び極低温超電導ケーブルなどについてモデルによる実験が実施され、今後の開発への道程が示された。3)UHV・EHV送電の極限絶縁設計の研究は、送電線の絶縁設計基準と試験法を再検討し、信頼性と経済性の接点を探ろうとするものである。耐雪設計の見直しとして、冬期雷の特異性とその対応が検討され、絶縁材料の改良開発として、有機材料の部分放電劣化、ZnOバリスター素子の劣化、ベーパミスト絶縁の耐電圧特性などが検討された。4)極限高電圧(50MV)の発生と測定に関する技術として、前駆リーダ放電、残留インダクタンス、直列火花ギャップの問題と対策及び光電変換分圧測定器が検討され、新しい発生器として直径60mのバルーンによるファンデグラフ方式が提案、検討された。