著者
廣津 昂 村田 伸 斎藤 正一 永友 知子 河端 博也
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.167-172, 2022-02-28 (Released:2022-03-25)
参考文献数
22

本研究の目的は,上肢骨折患者21名(平均年齢63.6±14.6,男性5名,女性16名)を対象に,ペットボトルキャップテスト(PET bottle cap test;PCT)を縦断的に評価し,PCT が上肢機能の回復過程を反映するか否かを検証することである。その結果,PCT とHand20は初回と比べて1週後,および1週後に比べて1ヶ月後に有意差を認めた。また,ペグテスト,握力,ピンチ力の患側は初回と比較して1週後に有意差を認めたが,1ヶ月後に有意差を認めなかった。一方で,ボタンの留め外し時間と更衣時間は,初回と比べ1 週後には有意差が認められなかったが,1ヶ月後に有意差が認められた。以上より,PCT は上肢骨折患者の患側機能および両手の上肢操作能力の経時的変化を評価できる有用な評価法であることが示された。PCT は特別な測定機器を必要とせず,ペットボトルとストップウォッチのみで計測できる汎用性の高い評価法であり,臨床現場で使用できることが示唆された。