著者
小澤 実奈 村田 伸 窓場 勝之 小西 佑磨 阪本 昌志 高橋 萌 吉田 安香音 安彦 鉄平 白岩 加代子 阿波 邦彦 堀江 淳 甲斐 義浩
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.179-183, 2016-01-31 (Released:2016-03-17)
参考文献数
18
被引用文献数
4 5

要旨:本研究の目的は,最適歩行と最速歩行の歩行パラメーターと下肢筋活動を比較し,それぞれの特徴を明らかにすることである。方法は,健常成人女性15名を対象に,歩行中の大腿直筋,大腿二頭筋長頭,前脛骨筋,腓腹筋内側頭の筋活動量を,表面筋電計を用いて測定した。なお,歩行パラメーターは歩行分析装置を用いて評価した。その結果,歩行パラメーター,筋活動においてすべて有意差を示した。さらに,最適歩行に比べ最速歩行の歩行率は歩幅よりも有意に増加し,立脚時間・両脚支持時間は有意に減少した。下肢の筋活動においては,最速歩行ですべての筋活動が2倍前後増加し,遊脚期の大腿直筋のみ約3倍増加した。以上のことから,歩行速度の増大には,歩行率の増加,立脚期の短縮が大きく関与し,また筋活動では前方への推進力としての役割が強い大腿直筋が大きく影響していることが示唆された。
著者
松本 典久 村田 伸 山田 道廣
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.9, no.4, pp.161-165, 2020-01-31 (Released:2020-02-07)
参考文献数
12

本研究は,股関節開排運動における股関節周囲筋の筋活動を解析した。対象は健常成人男性15名であり,被検筋は大腿筋膜張筋,大殿筋,中殿筋,縫工筋の4筋とした。股関節開排運動時の積分筋電図を各筋最大筋力発揮時の積分筋電図で正規化して,開排運動時における筋活動の指標とした。最大努力下での股関節開排運動時において,被検筋全てに各筋最大筋力発揮時の約半分から同程度の筋活動が認められた。股関節開排筋力と筋活動との関係を解析したところ,被検筋全てにおいて,股関節開排筋力の増加に伴い筋活動も増加していた。これらの結果から,股関節開排筋力には大腿筋膜張筋,大殿筋,中殿筋,縫工筋が関与しており、股関節開排筋力が股関節周囲筋の総和的筋力を表す指標となることが示唆された。
著者
中島 彩 村田 伸 飯田 康平 井内 敏揮 鈴木 景太 中嶋 大喜 中村 葵 白岩 加代子 安彦 鉄平 阿波 邦彦 窓場 勝之 堀江 淳
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.133-137, 2016-09-30 (Released:2016-10-22)
参考文献数
18
被引用文献数
1

本研究は健常成人女性14名を対象に,ヒールの高さの違いが歩行パラメータと下肢筋活動に及ぼす影響について検討した。ヒールなしおよびヒール高3cm と7cm 靴を着用した歩行中の歩行パラメータと下肢筋活動を計測した結果,歩行速度および歩幅とストライド長はヒールなし歩行に比べて,ヒール高7cm 歩行で有意に低下した。ヒールなし歩行とヒール高3cm 歩行のそれらの歩行パラメータには,有意差は認められなかった。両脚支持時間は,ヒールなし歩行に比べてヒール高3cm と7cm 歩行で有意に短縮したが,遊脚時間は後者が有意に増大した。下肢筋活動においては,測定した4筋すべてにおいて有意差が認められなかった。以上のことから,ヒール高3cm 以上で歩行中の立脚時間や遊脚時間に影響を与えるが,ヒール高3cm までであれば,歩行速度および歩幅やストライド長には影響が少ないことが示唆された。
著者
大田尾 浩 八谷 瑞紀 村田 伸 溝上 昭宏 小野 武也 梅井 凡子 大塚 彰 川上 照彦
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.93-99, 2012 (Released:2013-04-02)
参考文献数
38
被引用文献数
3

[目的]脳卒中片麻痺患者の歩行の可否に影響を及ぼす要因とカットオフ値を検討した。[対象]対象に認知機能が低下した患者を含む脳卒中片麻痺患者35名(男性22名,女性13名)とした。[方法]候補となる要因を年齢,Brunnstrom stage,立位バランス,上肢筋力,腹筋力,下肢筋力,足底感覚,および認知機能とし,これらの要因と歩行能力を評価した。歩行能力に影響する要因をロジステック回帰により分析し,ROC 曲線から歩行自立を判別するカットオフ値を検討した。[結果]歩行の可否に影響を及ぼす要因は,麻痺側下肢筋力とHDS-R 得点が選択された。歩行自立を判別するそれぞれのカットオフ値は,麻痺側下肢筋力では体重比24%,HDS-R 得点では25点であった。[結語]脳卒中片麻痺患者の麻痺側下肢筋力とHDS-R 得点によって,歩行自立を判別できる可能性が示唆された。
著者
白岩 加代子 村田 伸 安彦 鉄平 堀江 淳
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.121-126, 2017-10-06 (Released:2017-10-05)
参考文献数
31
被引用文献数
1 1

本研究は,地域在住の女性高齢者を対象に運動頻度と実施時間について検証した。日常生活における運動頻度と実施時間を基に,「運動なし」,「毎日30分未満」,「ときどき30分以上」,「毎日30分以上」の群に分け,身体機能と身体組成に差異がみられるか比較した。その結果,身体機能に関しては,毎日30分以上の運動を行っている高齢者では,他の群より,下肢筋力,バランス能力の評価が有意に良好な値を示した。また,毎日運動は実施していても実施時間が30分未満の場合には,日頃運動を行っていない高齢者と身体機能に有意差は認められなかった。運動を行っていない高齢者では,体脂肪率とBody Mass Index が運動を行っている高齢者よりも有意に高値を示した。これらのことから,高齢者の身体機能の維持・向上のためには,毎日30分以上の運動を取り入れた生活を送ることが望ましいと考える。
著者
中村 葵 村田 伸 飯田 康平 井内 敏揮 鈴木 景太 中島 彩 中嶋 大喜 白岩 加代子 安彦 鉄平 阿波 邦彦 窓場 勝之 堀江 淳
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.35-39, 2016-04-30 (Released:2016-07-29)
参考文献数
20
被引用文献数
1 3

本研究の目的は,歩行中のスマートフォンの操作が歩行に及ぼす影響を明らかにすることである。対象は,健常成人28名(男性16名,女性12名)とした。方法は,通常歩行と歩きスマホの2条件下にて,屋内で約20m の歩行路を歩いてもらい,そのうちの2.4mを測定区間とした。なお,測定機器には,歩行分析装置ウォークWay を用い,歩行パラメータ(歩行速度,歩幅,重複歩長,立脚時間,両脚支持時間,歩隔,足角)を比較した。その結果,歩きスマホは通常歩行に比べて,歩行速度,歩幅,重複歩長が有意に減少,立脚時間と両脚支持時間は有意に増加,歩隔は増加傾向を示した。以上のことから,歩きスマホでは,歩幅や重複歩長が短縮し,立脚時間や両脚支持時間は延長することで,歩行速度が低下することが明らかとなった。
著者
岩瀬 弘明 村田 伸 廣瀨 智理 下平 佳代 渡邉 俊行 舩田 雅之 原 由香利 窓場 勝之
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.28, no.6, pp.709-713, 2013 (Released:2014-01-21)
参考文献数
13
被引用文献数
3 1

〔目的〕臨床実習指導者からみた学生の「好感がもてる行動」を明らかにすることを目的とした.〔方法〕第1次調査では,臨床実習指導者を対象に自由記述式のアンケート調査を行い,学生に求められている148項目の行動を明らかにした.第2次調査では,1次調査で得られた好感がもてる行動の重要度を明らかにした.〔結果〕臨床実習指導者からみた学生の好感がもてる行動は「患者にはっきりと挨拶ができる」など,患者に対する態度に関する項目が上位を占めていた.一方,下位項目は学生の知識や身だしなみ,デイリーノートに関する項目であった.〔結語〕臨床実習指導者は,患者に対する挨拶や態度を重要視しているが,学生の知識や身だしなみ,デイリーノートの記載量は重要視していないことが示唆された.
著者
上城 憲司 井上 忠俊 村田 伸 小浦 誠吾 納戸 美佐子 中村 貴志
出版者
三輪書店
巻号頁・発行日
pp.376-381, 2018-04-15

Abstract:本研究では地域在住高齢者を対象に,認知課題ゲーム(以下,Pゲーム)の実施方法の違いと認知機能別の特徴について検討した.Pゲームは25マスの図案の上に数字をランダムに記し,1〜25の番号が書かれたペットボトルのキャップをできるだけ早く,対応する図案の番号の上に置いたり取り出したりするゲームである.Pゲームの実施方法の違いについて比較した結果,「取り出す」パターンは,「置く」パターンよりも遂行時間が有意に短かった.また,Trail Making Test(TMT),Pゲームを認知機能別に比較した結果,「置く」パターンはすべての群間に有意差が認められた.一方,「取り出す」パターンは,TMTが健常群と認知機能低下群,認知症疑い群,Pゲームが健常群と認知症疑い群との間に有意差が認められ,認知機能低下に伴い遂行時間が長くなる傾向が示された.本研究の結果から,Pゲームは心理的ストレスが低く,簡易に認知機能の程度を判定する評価ツールとして有用性が高いと推察する.
著者
岩瀬 弘明 村田 伸 日沖 義治 北尾 沙友里 中村 純子 中井 良哉 村上 貴士 窓場 勝之
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.87-91, 2014-07-01 (Released:2014-09-12)
参考文献数
24

【目的】iPad アプリケーション「Touch the Numbers」の信頼性と妥当性について検討した。【方法】健常成人34名を対象とした。信頼性の検討には級内相関係数ICC(1,1)と最小可検変化量(MDC)を用いた。また,妥当性の検討はTMT-A との関連から求めたピアソンの積率相関係数から検討した。【結果】ICC=0.66(95%CI:0.42‐0.81),MDC95は6.3秒であった。また,Touch the Numbers とTMT‐A との間に有意な相関(r =0.57,p<0.01)が認められた。【結論】これらの知見から,Touch the Numbers の再現性と妥当性が確認され,注意機能検査として使用できる可能性が示された。
著者
大田尾 浩 八谷 瑞紀 村田 伸 小野 武也 梅井 凡子 金井 秀作 長谷川 正哉 溝上 昭宏 川上 照彦
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.359-363, 2011 (Released:2011-07-21)
参考文献数
21
被引用文献数
1

〔目的〕脳卒中片麻痺患者の屋内車いす駆動の可否に影響を及ぼす要因を検討した.〔対象〕脳卒中片麻痺患者59名(男性35名,女性24名)とした.〔方法〕候補となる要因をBrunnstrom stage,立位バランス,座位バランス,握力,腹筋力,非麻痺側・麻痺側の下肢筋力,および認知機能とし,これらの要因と車いす駆動能力を評価した.車いす駆動能力に影響する要因をロジステック回帰により分析した.〔結果〕車いす駆動の可否に影響を及ぼす要因は,立位バランスと腹筋力が選択された.〔結語〕脳卒中片麻痺患者が屋内での車いす駆動能力を獲得するには,立位バランスと腹筋力が重要であることが示された.
著者
村田 伸
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.245-249, 2004 (Released:2004-08-30)
参考文献数
29
被引用文献数
39 16

本研究は,健常女性33名(平均年齢22.2歳±2.6)の開眼片足立ち位での重心動揺を測定し,主要な下肢筋力や足部機能(足把持力と足底感覚)との関連性を検討した。重回帰分析によって,片足立ち位での重心動揺に影響を及ぼす因子として抽出されたのは,足把持力と足底感覚(二点識別覚)であり,足把持力が強いほど,また,足底感覚が鋭いほどに,片足立ち位保持が安定していることが示唆された。今回の知見より,片足立ち位保持が良好な対象例では,大腿四頭筋などの下肢の主要な筋力よりも,足部の機能である足把持力や足底感覚の方が,片足立ち位での重心動揺に影響を与えていることが示唆された。すなわち,片足立ち保持が30秒以上可能な対象者の片足立ち能力をより高めるためには,下肢の主要筋力を強化するよりも,足底感覚や足把持力をトレーニングすることの重要性が示唆された。
著者
仲村 匡平 村田 伸 村田 潤 古後 晴基 松尾 奈々
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.AbPI1121, 2011

【目的】一般にホットパック(Hot pack:HP)療法は湿熱法で利用するが,臨床の現場では衣類が湿ることやタオルの枚数が増え手間がかかることからビニール等でHPを包み乾熱法として使用することが多い.HP療法の作用には,温度上昇作用,血管拡張作用,筋緊張軽減作用,軟部組織の伸張性向上作用,鎮痛作用などがある.篠原らは,湿熱法でタオル10枚目の皮膚表面温度は乾熱法のタオル3枚目の皮膚表面温度にほぼ近似したと述べている.また,Lehmannらは,皮膚表面温度は8分後に42.5&deg;Cまで達するが,1cm以上の深部においては38&deg;C以上には達しないと報告している.先行研究では皮下血流を指標にした報告はあるが,筋血流量を指標とした報告は見当たらず、またこの皮下血流量に関する結果は,深部血流量に該当するとは限らない.そこで本研究では,HP表面温度と皮膚表面温をそれぞれ同じ値になるように調整し,湿熱法と乾熱法での下腿の筋血流量を比較検討した.<BR>【方法】健常成人5名(男性3名,女性2名)10脚.平均年齢は25.8±9.8歳,平均身長159.9±8.4cm,平均体重55.0±8.8kg.室温25&deg;C前後の室内にて実施した.測定姿位は治療用ベッドに腹臥位にて,下腿部後面とした.HPの実施時間は20分間とした.湿熱法はHPを直接タオルで巻き身体にあてる側を8枚,身体にあてない側は熱が放射しないようタオルを何層にも重ねた.乾熱法はHPをビニール袋で包んだ後,タオルで巻き身体にあてる側を3枚,湿熱法と同様に身体にあてない側は熱が放射しないようタオルを何層にも重ね実施した.対象者の左右の下腿部後面のうち一側を湿熱法,他側を乾熱法となるようそれぞれで設定したが,対象者にはHPの使用方法を伝えないよう留意した.なお,施行直前のHPの表面温度を赤外線温度計で測定し,HPの表面温度が40~45&deg;Cになったのを確認して実験を開始した.筋血流の測定はストレンゲージプレチスモグラフを使用してHP施行前後に実施した.大腿部に専用のカフを装着し,下腿周径の最も大きい部分にラバーストレンゲージを巻き付け,大腿部を50mmHgで10秒間駆血,5秒間解除を1分間測定した. 下腿の皮膚表面温はサーモグラフィーを使用してHP施行前後に行った.下腿部を専用カメラにて撮影した.HP施行前の値を基準として湿熱法施行後と乾熱施行後の下腿皮膚表面温,下腿の筋血流のそれぞれの変化率を算出し,HP施行前と湿熱法施行後・乾熱法施行後,湿熱法施行後と乾熱法施行後の変化率について比較した.統計処理は湿熱法と乾熱法における施行直前のHP表面温度の比較について,対応のないt検定を用いて比較した.下腿皮膚表面温の変化率および下腿の筋血流量の変化率について反復測定分散分析およびFisherのPLSDによる多重比較検定を実施した.解析には,SPSSを用い統計的有意水準を5%とした.<BR>【説明と同意】研究の趣旨と内容,得られたデータは研究目的以外には使用しないこと,および個人情報の取り扱いには十分に配慮することを説明し,参加は自由意志とした.<BR>【結果】湿熱法と乾熱法における施行直前のHP表面温度の平均値は,湿熱法HP表面温度が平均42.6±2.6&deg;C,乾熱法HP表面温度が平均42.8±2.6&deg;Cであり,2群間に有意差は認められなかった.下腿の皮膚表面温はHP施行前と比較し,湿熱法施行後および乾熱法施行後で有意な増加が認められた(P<0.01).一方,湿熱法施行後と乾熱法施行後の2群間に有意差は認められなかった.また,下腿の筋血流量はHP施行前と比較し,湿熱法施行後で有意な増加が認められた(F=4.8,P<0.05).<BR>【考察】温熱刺激によって身体は治療として意義のある生理的反応を起こし,その生理的反応の1つに血管拡張作用が挙げられる.温熱そのものの刺激は,軽い炎症と同様の変化をもたらす.温熱刺激によりヒスタミン様物質を放出する細胞を刺激することで血管拡張が起こる.また,温熱刺激により皮膚温度受容器を反応させ,求心性神経を介して軸索反射が起こることによって血管拡張がみられる.HP療法は皮膚と加熱媒体間の水分(湿気)の有無により湿性加温と乾性加温に分類されており,HPから出る水分は熱伝導性に関係する.篠原らは熱伝導性について空気および綿織物の熱伝導性はそれぞれ0.0092w/m&deg;C,0.0796 w/m&deg;Cに対して,蒸気0.251 w/m&deg;C,水0.595 w/m&deg;Cであり,湿熱法の熱伝導が乾熱法により遥かに良いと述べている.以上から,本研究では湿熱法を実施することで,より大きい熱伝導性により血管拡張に作用し,下腿の筋血流量の増加を生じさせたと推察された.<BR>【理学療法学研究としての意義】HPは下腿の筋血流量を増加させる手段として有効であり,特にその効果は湿熱法の方が乾熱法より高いことが示された.
著者
村山 菜都弥 村田 伸
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.195-198, 2012 (Released:2012-06-13)
参考文献数
18
被引用文献数
1

〔目的〕健常成人を対象に利き手と,非利き手を使用した際の前頭葉の脳血流量を比較検討した.〔対象と方法〕健常な男女12名(男性9名,女性3名,年齢20.3±0.5歳,対象者のすべてが右利き)を対象に,蚊取り線香をかたどった渦巻きと同じ大きさの円を10秒間書いてもらい,次に渦巻きの壁に当たらないようにできるだけ早く線を書いてもらった.この渦巻き課題を利き手,非利き手で行った際の各所要時間と施行中の酸素化ヘモグロビン(HbO2)の変化をNIRSを用いて測定した.〔結果〕利き手と非利き手を用いた作業時のHbO2に有意な差が認められ,非利き手使用時に有意にHbO2が高まった.〔結語〕利き手よりも非利き手を使用したほうが,前頭葉の脳血流量が増加することが示唆された.
著者
八谷 瑞紀 村田 伸 大田尾 浩 有馬 幸史 溝上 昭宏
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.593-597, 2009 (Released:2009-09-24)
参考文献数
16
被引用文献数
6 2

〔目的〕脳卒中片麻痺患者の起き上がり動作を定量的に評価し,上下肢ならびに体幹の機能との関連を検討した。〔対象〕片麻痺患者20名(平均年齢65.4±11.3歳)を対象とした。〔方法〕非麻痺側機能としての握力と大腿四頭筋筋力,麻痺側機能であるBrunnstrom stage,体幹機能をTrunk control testによって測定し,起き上がり所要時間との関連を検討した。〔結果〕単相関分析および重回帰分析によって,起き上がり所要時間に影響を及ぼす要因として抽出されたのは非麻痺側下肢筋力と体幹機能であった。〔結語〕起き上がり動作には麻痺側上下肢の機能より,非麻痺側機能や体幹機能の影響が大きいことが示され,片麻痺患者の起き上がり動作をスムーズにするためには,非麻痺側機能や体幹機能の向上を目的とした理学療法アプローチの重要性が示唆された。
著者
松永 秀俊 山野 薫 上田 周平 村田 伸 吉澤 隆志 武田 功
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.24, no.5, pp.675-678, 2009 (Released:2009-11-25)
参考文献数
16

〔目的〕運動後,伸張強度が筋に与える影響について書かれたものは散見する程度であり,運動療法施行上,核心が無いままで行われているのが現実である。そこで,我々は筋伸張強度と筋の回復効果との関連について検討した。〔方法〕運動負荷後,異なった強度での伸張運動を行い,時間の経過と共に筋硬度および体表温度の変化を計測し,それを基に効果判定を行った。〔結果〕筋伸張強度の違いによる筋の回復効果には一部有意な差を認めた。〔結語〕運動負荷後の筋の回復には強い伸張で行う必要はなく,軽い伸張でも十分効果的である可能性が示唆された。
著者
安田 直史 村田 伸
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.109-115, 2012 (Released:2013-04-02)
参考文献数
27
被引用文献数
2 1

本研究は,通所リハビリテーション施設に通所している要介護高齢者を介護する主介護者に対する支援についての指針を得ることをねらいとし,抑うつに影響を及ぼす因子を抽出することを目的とした。対象は,要介護高齢者43名とその主介護者43名とした。主介護者の抑うつ度,要介護度,要介護者の年齢,介護期間,主介護者の年齢,介護負担感,主介護者の睡眠時間,要介護者のADL 能力,要介護者の抑うつ度を調査し,主介護者の抑うつ度との関連を検討した。重回帰分析により,抑うつに影響を及ぼす因子として抽出された項目は,要介護者年齢と主介護者の介護負担感の2項目であり,要介護者の年齢が高いほど,主介護者の介護負担感が高いほどに主介護者の抑うつが高いことが確認された。 今回の知見より,要介護高齢者を介護する主介護者の抑うつを軽減させる為には,加齢によって失われる機能や疼痛などに対するリハビリテーション,主介護者の介護負担感へのサポートの重要性が示された。
著者
村田 伸弘 奥村 恭男
出版者
日本大学医学会
雑誌
日大医学雑誌 (ISSN:00290424)
巻号頁・発行日
vol.80, no.1, pp.3-5, 2021-02-01 (Released:2021-04-22)
参考文献数
17
著者
村田 伸 甲斐 義浩 安彦 鉄平 中野 英樹 岩瀬 弘明 松尾 大 川口 道生 松本 武士 吉浦 勇次 角 典洋
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.195-198, 2018-01-31 (Released:2018-02-23)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

本研究は,開発した膝関節内反動揺を軽減させる構造の靴(膝内反軽減シューズ)を紹介するとともに,変形性膝関節症患者の歩行に及ぼす影響を検討した。変形性膝関節症患者21名(すべて女性:平均年齢63.4±8.0歳)を対象に,膝内反軽減シューズと一般靴を履いた際の歩行パラメータを比較した。その結果,膝内反軽減シューズを履いて歩くと,足角が有意(p<0.001)に減少し,ストライド長と歩幅は有意(p<0.001)に広がり,歩行速度が有意(p<0.001)に速まった。一方,歩隔,歩行角,立脚時間,両脚支持時間の4項目には有意差は認められなかった。有意差が認められた足角,ストライド長,歩幅,歩行速度の効果量はΔ=-0.34~0.47の範囲にあり,膝内反軽減シューズが変形性膝関節症患者の歩行に及ぼす一定の効果が示唆された。
著者
山内 良祐 牟禮 努 小寺 晶子 加藤 あずさ 大角 しずか 引野 伽乃 池尻 生実 村田 伸 兒玉 隆之
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.107-115, 2023-02-28 (Released:2023-03-02)
参考文献数
29

本研究は,リハビリテーション場面において母とセラピストの声かけが精神運動発達障害児の脳内神経活動に与える影響を検討することにより,「他者」の声かけの違いがどのような情動的な影響を及ぼし,リハビリテーションの介入へどのような影響を及ぼすかを明らかにすることを目的とした。対象は7 名(平均年齢:4.9±2.9歳)とし,母とセラピストの声かけ条件を8条件とセラピストのみの1条件の計9条件に設定し,各条件間での脳神経活動性について比較した。その結果,母の声かけでは,情動領域,運動領域や認知領域にて脳神経活動を示し,セラピストの声かけでは,言語領域にて脳神経活動を示した。声かけはこれまで運動学習の必須要項として既に立証されている治療効果を促す刺激としてだけでなく,他者がタイミングよく行うことで,情動の陽性変化や認知面でリハビリテーションをより効果的かつ円滑に進めることのできる要素となる可能性が示唆された。
著者
阪本 昌志 兒玉 隆之 中野 英樹 植田 智裕 森 郁子 谷 都美子 村田 伸
出版者
日本感性工学会
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18845258)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.279-283, 2019 (Released:2019-08-30)
参考文献数
23

We examined the effects of foot massage on healthy adult females’ mental and physical functions by electroencephalography as an emotional assessment method. We randomized 20 healthy adult females into 2 groups receiving a massage by a therapist (Group A) and mechanical massage using a commercially available massager (Group B), each of which consisted of 10 subjects. After massage, the lower limb volume significantly decreased in both groups, but Group A showed more favorable results related to comfort, pain, and feeling refreshed. Electroencephalography confirmed increased beta waves, indicating enhanced neuronal activity, in the medial prefrontal cortex and anterior cingulate gyrus of Group A after massage. The results suggest that foot massage by a therapist positively influences not only physical functions, but also mental conditions.