著者
河野 かつら 天野 一葉 江口 和洋
出版者
The Ornithological Society of Japan
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.59-61, 2000-07-25 (Released:2007-09-28)
参考文献数
8
被引用文献数
2

ソウシチョウ Leiothrix lutea において12の形質を計測し、DNA性判定技術を用いて、(1)雌雄の形態的性差を明らかにし、(2)これらの形態的性差への性淘汰の関与について考察した。ソウシチョウのオスではメスよりも体サイズが大きく、翼の赤•黄色の斑、上尾筒先端の白帯も有意に大きかった。これらの形態的形質をもとに正準判別関数Z=0.091×(最大翼艮)+0.236×(翼の赤い斑の長さ)+0.967×(上尾筒先端の白帯幅)-10.606によって高い率で形態的形質から雌雄を判別することができた。また、形態的性差に寄与していた翼の色斑は翼長と独立で変動係数が非常に大きいことから、性淘汰に関与していることが示唆され、色斑の変動係数はオスよりもメスで大きかったことから、方向性淘汰にさらされている可能性があると思われる。