著者
圓 幸史朗 河野 允宏
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会構造系論文集 (ISSN:13404202)
巻号頁・発行日
vol.66, no.550, pp.47-55, 2001
参考文献数
35

Stochastic properties of broadband strong motions are investigated using the fractal source model. The model is described by the limited dynamic data reflecting uncertainty and heterogeneity on the fault plane. The soil ground model for source-site path is presented by the theoretical Green's function of the multi-layered half space. The simultaneous simulation test has been tried for the recorded ground motions at some sites in the 1994 Northridge earthquake and the 2000 Western Tottori prefecture earthquake. The average spectra and the duration time of the synthetics correspond well with those of the observed within 20 kilometers from the fault region.
著者
河野 允宏
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

前年度は、3次元波動伝播理論と理論的震源関数を用いた地震動モデルを作成し、この地震動モデルの有効性の検証を、兵庫県南部地震で測定された神戸大学、新神戸変電所、松村組の技術研究所の3ヶ所の地震記録を対象に行うと共に、これらの地震動特性の構成についての考察を行っている。地震動モデル作成において、断層面での滑り分布は、Sekiguchi et al.(1995)の結果を考慮したが、震源関数を規定する断層破壊に関するパラメータは、神戸大学記録のNS成分1つのみと地震動モデルの対応する成分と合致させることから決定した。このようにして、一つの震源関数を定めた。神戸大学のEW成分、新神戸変電所および松村組技術研究所のNS、EW成分の地震動は、それぞれの地盤モデルから評価されたグリーン関数と上記の一つの震源から作成した。神戸大学、新神戸変電所、松村組技術研究所の加速度記録のNS、EW成分と地震動モデルの波形、速度応答スペクトラムの比較により、地震動モデルと観測地震動は全体的に良く合致していることが示された。しかし、3次元地盤での地震動を波動伝播理論を用いて計算すると莫大な時間を必要とする。そこで今年度は、前年度の研究成果を更に発展させ、上記の3つの観測点の震源から地震基盤までの地震動は従来と同じ3次元地盤波動伝播理論を用いて計算し、1次元の地盤で置換された表層地盤の基盤に、その地震動を入射し、表層地盤での任意の位置での地震動を評価する方法を示した。この様にして作成された地震動モデルにより、神戸大学、新神戸変電所、松村組の技術研究所の3ヶ所の地震記録のシミュレーションを行なった結果、3次元地盤の波動伝播理論を用いて作成した前年度の地震動と殆ど同じ程度のシミュレーション結果が得られた。この研究によって、兵庫県南部地震の様な直下型地震動に対しては、今年度示した方法で、将来発生する兵庫県南部地震の様な直下型地震動を極めて短時間に予測出来る可能性を充分に示した。