著者
河野 建夫 榊原 徳造
出版者
日本養豚学会
雑誌
日本養豚学会誌 (ISSN:0913882X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.18-24, 1998-03-10 (Released:2011-06-08)
参考文献数
22

ランドレースと大ヨークシャーの一代雑種雌豚165頭を用い, 肉豚と同様の飼養管理下における性成熟の到達状況を調査した。同時に, 到達以前と以後で生殖器の大きさがどのように異なるかを検討した。供試豚は体重25kg前後からと殺時まで, 一部すのこ状コンクリート床の肥育用豚舎で6~10頭群飼し (飼育密度約1m2/頭), 旧豚産肉能力検定用飼料 (可消化養分総量70.1%, 可消化粗蛋白12.7%) を不断給餌した。性成熟に到達した雌豚の割合は, 体重82~137kg, 日齢152~260日の範囲で全体の20%であった。それらの生殖器は, 総重量のほか, 各部位 (卵巣, 卵管, 子宮角, 子宮体, 子宮頸および膣) の重量あるいは長さでも性成熟前の豚を大きく上回った (膣長のみP<0.05, 他はいずれもP<0.01)。性成熟前の豚では, 生殖器総重量は日齢の進んだほど大きく (P<0.01), 性成熟後の豚では日齢のいかんにかかわらず体重が重いほど大きい (P<0.05) 傾向たあった。
著者
河野 建夫 榊原 徳造
出版者
日本養豚学会
雑誌
日本養豚学会誌 = The Japanese journal of swine science (ISSN:0913882X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.93-98, 1997-09-30
参考文献数
15
被引用文献数
1 1

大ヨークシャー雄豚429頭を用い, 体重90kg時の生殖器の大きさを調査した。併せてそれらと体型, 産肉性との関係およびその遺伝について分析した。調査項目は精巣重量, 同長径, 同短径, 精巣上体重量, 精嚢腺重量, 前立腺重量, 尿道球腺重量および陰茎長で, それぞれの平均値は, 195.3g, 9.9cm, 6.4cm, 39.2g, 132.6g, 4.9g, 48.2gおよび40.6cmであった。各器官とも, 重量については個体変動が大きかった。左右間の比較では, 精巣重量および同長径において左が大きく (P<0.01), 同時に左が大きい個体の出現率も高かった(P<0.01)。生殖器間の表型相関は, 精巣短径と陰茎長間を除きいずれも有意 (陰茎長と精巣重量および同長径間のみP<0.05, 他はP<0.01) であった。胸囲はすべての調査項目と正の相関関係 (陰茎長のみP<0.05, 他はP<0.01) に, また1日平均増体重はすべての調査項目と負の相関関係 (陰茎長のみP<0.05, 他はP<0.01) にあった。分散共分散分析法による両親成分からの遺伝率推定値は, 各項目それぞれ0.46, 0.67, 0.48, 0.50, 0.40, 0.52, 0.71および0.45であった。供試豚以外で, 単睾を呈した23頭の雄豚の精巣は正常雄豚のそれより明らかに大きく (P<0.01), 代償発育の可能性が示唆された。