著者
轟木 靖子 河野 葉子
出版者
香川大学教育学部
雑誌
香川大学教育学部研究報告 第1部 (ISSN:04549309)
巻号頁・発行日
no.122, pp.47-58, 2004

放送音声におけるガ行鼻濁音の扱いについて考察するため、全国の放送局53局のアナウンサー250名にアンケート調査をおこない、アナウンサーがガ行鼻濁音についてどのように考えているかを分析した。いくつかの項目については、アナウンサーの経験年数や成育地によって回答の傾向に差が見られた。ガ行鼻濁音に関する規範意識はアナウンサーの経歴が長くなるにつれて高まる傾向にあり、アナウンサーの成育地がガ行鼻濁音を使用していない地域の場合であっても、指導者の立場であればガ行鼻濁音を使用するよう指導すると考えていることがわかった。
著者
河野 葉子
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2019年大会
巻号頁・発行日
2019-05-17

2011年東北地方太平洋沖地震(M9.0)は日本列島全体に大きな地殻変動を与え、各地の地震活動に大きな影響を与えている。本研究では、巨大地震の発生が想定される南海トラフのプレート境界遷移領域でのすべりに対して東北地方太平洋沖地震が及ぼす影響について調査した。 紀伊北部・中部・南部、四国東部・中部・西部の6地域において、東北地方太平洋沖地震前後におけるプレート境界遷移領域での地震モーメント解放率の変化を解析した。本研究に使用したデータは、2002年4月から2013年7月まで[Daiku et al.2018]および2013年8月から2017年2月まで[中本他,2018]の期間のうち長期的スロースリップイベント未発生時の深部低周波微動の大きさのデータである。深部低周波微動の大きさから地震モーメントへの換算には、[Daiku et al.2018]で報告されている換算率を用いる。東北地震太平洋沖地震前後の期間を対象として、ノンパラメトリックブートストラップ法を用いて、地震モーメント解放率の平均値や95%信頼区域を推定した。なお、東海地方は長期的スロースリップによる影響を受けている期間が長いため除外した。 東北地方太平洋沖地震前後におけるプレート境界遷移領域での地震モーメント解放率の平均値は、紀伊北部と四国西部では変化が無かった。四国東部・中部では地震後に平均値が大きく、紀伊南部では地震後に小さくなるものの有意な差ではなかった。紀伊中部では地震後に有意に平均値が小さくなった。さらに東北地方太平洋沖地震前の期間について調べたところ、紀伊中部・南部では平均値の有意な減少が認められた。 上記の結果より、東北地方太平洋沖地震前後における南海トラフのプレート境界遷移領域での地震モーメント解放率は紀伊中部を除いて有意な変化が無いことが分かる。紀伊中部においては東北地方太平洋沖地震前の期間でも東北地方太平洋沖地震前後と同様の変化が認められることから、東北地方太平洋沖地震前後の変化は東北地方太平洋沖地震とは関連していない可能性が高い。したがって、東北地方太平洋沖地震は地震モーメント解放率の変化を与えるような影響は及ぼさなかったと結論できる。これは、東北地方太平洋沖地震による応力変化が南海トラフにおいては地震発生に影響を及ぼすほど大きくないことを示した[Toda et al. 2013]の結果と整合的である。紀伊中部および東北地方太平洋沖地震前に紀伊南部に見られた地震モーメント解放率の有意な減少は、遷移領域での摩擦状態の変化を反映している可能性がある。