著者
轟木 靖子 河野 葉子
出版者
香川大学教育学部
雑誌
香川大学教育学部研究報告 第1部 (ISSN:04549309)
巻号頁・発行日
no.122, pp.47-58, 2004

放送音声におけるガ行鼻濁音の扱いについて考察するため、全国の放送局53局のアナウンサー250名にアンケート調査をおこない、アナウンサーがガ行鼻濁音についてどのように考えているかを分析した。いくつかの項目については、アナウンサーの経験年数や成育地によって回答の傾向に差が見られた。ガ行鼻濁音に関する規範意識はアナウンサーの経歴が長くなるにつれて高まる傾向にあり、アナウンサーの成育地がガ行鼻濁音を使用していない地域の場合であっても、指導者の立場であればガ行鼻濁音を使用するよう指導すると考えていることがわかった。
著者
石川 徹
出版者
香川大学
雑誌
香川大学教育学部研究報告 第1部 (ISSN:04549309)
巻号頁・発行日
no.126, pp.61-68, 2006

The aim of this paper is to elucidate the relation of "reason" and "passion" in Hume's philosophy by examining his interpretation of the alleged "the combat of passion and reason" as conflict between "violent passions" and "calm passions". Firstly, we point out that the combat takes place only in some kinds of actions. Secondly, we examine Hume's position by interpreting his famous statement "Reason is the slave of passions". We find that Hume oversimplifies the relation between reason and passion and particularly he misconceives how reason could influence passions. We conclude that Hume's argument can and should be rebuilt by reconsidering the relation between reason and passion in human conduct.
著者
内原 香織 竹森 元彦
出版者
香川大学教育学部
雑誌
香川大学教育学部研究報告 第1部 (ISSN:04549309)
巻号頁・発行日
no.128, pp.77-96, 2007

本論文では、医師、教師、カウンセラー3者のロールプレイのプロセスを分析することを通じて、カウンセラーによる援助の独自性についての考察を試みた。分析の手法については、筆者が各援助者にインタビューを繰り返し行い、援助者の意図やねらいを明確にしていく「仮説生成-検証」(下山、2001)によって、より事例に近い解釈を試みた。また、クライエント役は筆者が行い、そこで得られた体験を、分析の手がかりとした。その結果、(1)カウンセラーという「役割」が、その独自のあり方を規定していること、(2)カウンセラーは、「消極的態度」(菊池、2004)によって、クライエントの自発性を回復させるという独自の関わりを行っていることが明らかになった。さらに、(3)筆者自身のクライエント体験を踏まえて、カウンセラーのあり方を検討した結果、「安心して語れる場をつくること」[感情に寄り添うこと」「自分との関わりを手助けすること」「意味が結晶してくるのを共に待つということ」という独自のあり方が明らかになった。以上のようなカウンセラーの援助が、クライエントの感情体験を呼び起こし、眠っていたクライエント白身の「自然治癒力」を高めることが明らかになった。最後に、(4)方法論としてのクライエント体験の可能性とその限界について考察を加えた。