著者
河野 誠也 吉野 幸一郎 中村 哲
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

対話行為とは,話者が発話において持つ何かしらの「意図」あるいは発話における「機能」であり,その意図や機能の種類として対話行為タグが定義される.対話行為は,対話モデルにおける基本単位の一つとして利用されてきており,特に近年,対話における発話間の相互作用をモデル化する上で有用であることが知られている.しかし,近年広く用いられているニューラル対話モデル (Neural Conversation Model; NCM) では,こうした対話行為によってシステム発話を明示的に操作することが困難である.そこで本研究では,システム応答が持つ対話行為の情報を条件として用いた敵対的生成学習の枠組みをNCMに導入する.具体的には,与えられた対話行為に基づいて応答を生成するGeneratorと,Generatorが生成した応答が指定した対話行為に基づいた適切なものであるかを判別するDiscriminatorを構築し,これらの2つのモデルを交互に敵対的に訓練する.このような学習の枠組みの導入により,NCMが任意の対話行為に基づいた適切な応答を生成することが可能かどうかの評価を行った.
著者
湯口 彰重 河野 誠也 石井 カルロス寿憲 吉野 幸一郎 川西 康友 中村 泰 港 隆史 斉藤 康己 美濃 導彦
出版者
一般社団法人 日本ロボット学会
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.40, no.10, pp.932-935, 2022 (Released:2022-12-24)
参考文献数
8

We propose an autonomous mobile robot Butsukusa, which describes its observations and internal states during the looking-around task. The proposed robot observes the surrounding environment and moves autonomously during the looking-around task. This paper examined several language generation systems based on different observation and interaction patterns to investigate better communication protocol with users.
著者
中村 泰貴 河野 誠也 湯口 彰重 川西 康友 吉野 幸一郎
雑誌
研究報告自然言語処理(NL) (ISSN:21888779)
巻号頁・発行日
vol.2022-NL-253, no.6, pp.1-7, 2022-09-22

ロボットをはじめとする人間を支援するシステムは,観測から状況を正しく理解し,人間が必要とする支援行動を出力する必要がある.特に人間を対象とした支援において,システムがどのような状況理解を行い,どのような動作行動の生成しようとしているかは,言語で表現することが重要である.そこで本研究では,現在の状況からシステムが行うべき行動を予測しその内容を言語で説明する,動作行動予測とその言語化 (captioning operative action) に取り組む.具体的には,ある状況とそこに対して何らかの支援行動が行われた理想状態の画像を入力とし,どのような支援行動が行われたかを説明する言語化タスクによって動作行動予測を実現するシステムを構築した.この際,こうした状況を説明する補助情報であるシーングラフの予測を補助タスクとして用いることで,シーングラフのアノテーションが存在しないテストセットに対しても精度高く動作行動の予測・言語化を行うことができることが確認された.
著者
中野 佑哉 河野 誠也 吉野 幸一郎 中村 哲
雑誌
研究報告自然言語処理(NL) (ISSN:21888779)
巻号頁・発行日
vol.2020-NL-244, no.3, pp.1-5, 2020-06-26

質問応答とは,与えられた質問に対し適切な答えを見つけて提示するタスクであり,機械読解や対話システムなど様々な応用を構成する重要な基本タスクの一つである.これまでの質問応答システムの研究は様々な問題を解決し,いくつかのベンチマークで高い精度を実現してきた.しかしながら,質問応答システムを実際に利用する場合,様々な課題が残されている.その中の一つに,質問応答システムに対するユーザ発話の曖昧性がある.本論文では,解答が一意に定まらない曖昧な質問文に対し,問い返しを行うことによって質問文の意味を一意に定めることを目的とする新たな質問応答タスクを設定した.その上で,この問題のベンチマークとなる質問応答データセットを既存の質問応答タスク向け大規模データセットから変換することにより作成した.また,作成したデータセットに対して既存モデルを用いた際の精度評価実験を行い,どのような問題が存在するか議論した.