著者
入澤 千晶 鈴木 謙一 中川 晴夫 菅野 理 加藤 弘彰 阿部 寛 石郷岡 学 石井 延久
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.267-271, 1991-03

A 62-year-old male visited our department complaining of left flank pain and urinary retention on November 6, 1989. Intravenous pyelography showed small stone shadows in bilateral ureters and lower calyx of kidney and the left kidney was not visualized. Endoscopically, calculi were seen in bilateral ureteral orifice. An ureteral catheter could not be passed up from there bilaterally. On November 13, 1989, January 24 and 26, 1990, calculi were passed out spontaneously. Analysis of the stones revealed silica calculus. The patient had a past history of duodenal ulcers. He was administered magnesium silicate and magnesium alminometasilicate as an anti-acid drug for ten years. Sixteen cases of silica calculus in Japan are reviewed.
著者
菅野 理子 本多 庸悟 金子 俊一
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM)
巻号頁・発行日
vol.1993, no.25(1992-CVIM-082), pp.95-102, 1993-03-18

ゴッホやマティスなどの絵画は、それを見れば容易に描いた画家を推測できるような、タッチ(筆触)やマチェール、ヴァルールなどにおける独自の特徴を持っている。本研究は油絵におけるタッチに的をしぼり、タッチを自動的に抽出して、その特徴を定量的に記述することを目的とする。ここでは、タッチが色彩によって抽出できるものとし、人間の色知覚に基づいたマンセル表色系を用い、タッチをその色相に基づく領域として抽出し、実験を行った。研究の過程において、色補正変換を含むRGB/マンセル表色系変換システムも作成して用いた。実験の結果、タッチを色相だけから抽出することの可能性と困難さが示されたが、一応の知見が得られたので報告する。
著者
冨士田 裕子 菅野 理
出版者
植生学会
雑誌
植生学会誌 (ISSN:13422448)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.37-47, 2020 (Released:2020-07-07)
参考文献数
21

1. 北海道の汽水湖のうち,オホーツク海に面した濤沸湖,北海道東部地方の火散布沼,藻散布沼,トーサムポロ沼で水草の分布状況調査と塩分濃度等の測定を,カヌーを使用して水上から実施し,塩分濃度と出現水草種の関係について考察した.2. トーサムポロ沼ではアマモ,火散布沼,藻散布沼ではアマモとコアマモが出現し,それ以外の種は見られず,測定した塩分濃度は2.61%から3.15%の範囲であった.3. 濤沸湖では,アマモ,コアマモに加え,8種類の水草が出現した.濤沸湖では湖出口から5 km付近までアマモとコアマモが分布しており,さらに湖出口から遠い地点では発見できなかった.両種は,主に塩分濃度が1%以上の場所に出現していたが,コアマモは塩分濃度の低い場所でも生育が確認された.4. 濤沸湖の湖出口から5 km以上離れた場所では,アマモやコアマモ以外の種が出現し,それらは 塩分濃度1%以下の場所で採集され,種によって出現場所の塩分濃度に差異が見られた.本研究で測定した塩分濃度はいずれの種も,既存報告で示された各種類の出現する塩分濃度範囲内にほぼおさまっていた.汽水湖の水草の分布は,塩分濃度との関係が深く,多くの種が生育している汽水湖ほど,塩分濃度の異なる場所が湖内に存在することが示唆された.5. 環境省は日本の汽水湖として56湖沼をあげており,その内の半数に近い23湖沼が北海道に存在している.23湖沼のうち21の湖で過去の調査情報があるが,近年,調査がなされていない.さらに,情報のない湖も存在することから,北海道の汽水湖での定期的なモニタリング調査を実施することが必要と考えられた.
著者
冨士田 裕子 菅野 理 津田 智 増井 太樹
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.279-296, 2018 (Released:2018-12-27)

北海道の東部に位置する濤沸湖は、砂嘴の発達によって形成された海跡湖で、汽水湖でもあるため藻場や塩性湿地も発達し、オオハクチョウやヒシクイ等の渡来地として、ラムサール条約の登録湿地となっている。現在、濤沸湖は網走国定公園特別地域に指定されているが、今後の保全計画等の立案に資するため、2001-2015年に維管束植物相調査を実施した。特に2014年は季節を変えながら集中的に調査を行い、カヌーを使用した水草調査も実施した。確認した植物はさく葉標本にし、証拠標本として北海道大学北方生物圏フィールド科学センター植物園の植物標本庫(SAPT)または岐阜大学流域圏科学研究センターの植物標本庫に保存した。調査の結果、82科331種類の維管束植物が確認された。環境省のレッドリスト掲載種は27種が生育していた。また、湖内では11種類の水草が確認され、そのうち6種がレッドリスト掲載種であった。一方、北海道の外来種リストに掲載されている種は44種類出現し、路傍や法面での採集が多かった。過去の維管束植物相調査と比較すると、今回の調査によって、これまで記載されていなかった130種類が確認され、季節を考慮した集中的で広範囲にわたる植物相調査の必要性が明らかになった。一方、水草については、過去に出現報告があるにもかかわらず今回確認できなかった種が4種存在し、それらはすべて淡水性の水草であった。特に湖の上流側にあたる南端部分での環境変化が、水草の生育に影響を及ぼしている可能性が示唆された。
著者
菅野 理 平野 順治 平野 和彦 久保田 洋子 沼沢 和夫 川村 俊三
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.75, no.3, pp.523-527, 1984

悪性褐色細胞腫に2年6ヵ月間ラベタロールを投与し血圧を良好にコントロールできた1症例を報告する。患者は35歳男性で、末梢冷感、発汗発作、頭痛を主訴に1980年8月9日入院した。術前検査はNora-drenarineのみが高値で、かつ遠隔転移が確認されず、異所性良性褐色細胞腫と診断し手術を施行したが、摘出不可能であった。そこで術後よりLabetalolを投与し、血圧のコントロールを行っていたが、1年3ヵ月後に肺及び骨転移をきたし悪性褐色細胞腫と診断した。Endoxan、Aclacinon、Vincristineによる化学療法で、肺転移巣は6ヵ月間不変であったが、その後増悪し、D1Cを合併し1983年3月15日死亡した。褐色細胞腫の血圧のコントロールにLabetalolは有効であると考えられた。
著者
金子 尚嗣 恩村 芳樹 平野 順治 菅野 理 川村 俊三
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.80, no.5, pp.732-736, 1989-05-20

症例は29歳,女性.昭和52年頃より徐々にCushing症候群の症状が出現してきた.昭和55年9月に当院に紹介入院し,両側副腎腺腫によるCushing症候群の診断で,二期分割手術を予定し12月22日に右副腎摘除術を施行した.右副腎には径1.8cmの黒色結節と多数の黒色小結節を認め,病理組織診断はprimary adrenocortical nodular dysplasiaであった.術後ステロイドの補充を行わなかったが,副腎不全症状はみとめられたかった.しかし,3カ月後に副腎不全症状が出現し,以後4カ月間デキサメサゾンを投与した.その後Cushing症候群の症状なく経過していたが,昭和61年11月には再びCushing症候群の症状が明かとなり,昭和62年6月1日に左副腎摘除術を施行し,左副腎に右側と同様の所見を認めた.本症例の様な経過を示した結節性過形成例の報告はなく極めて稀と考えられる.また,本症例での血中ACTHとcortisolの変動にはACTHが必ずしも完全に抑制されていない時があること,また結節よりの自律分泌にも変動があると推測されることなどから下垂体と副腎の二元支配が疑われた.