著者
中出 哲也 小谷 忠生 安藤 由章 沼田 芳明 内田 佳子
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.45, no.5, pp.305-311, 1992-05-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
10

X線検査で蹄葉炎と診断した3頭の蹄葉炎馬の罹患蹄である右前肢3蹄, 非罹患蹄と診断した右後肢3蹄と他の3頭の馬の非罹患蹄と診断した左前後肢6蹄, 計12蹄について走査電顕および光学顕微鏡で観察した.正常蹄の所見では蹄壁移行部, 蹄壁中央部および蹄尖部では1次表皮葉および2次表皮葉はその形態, 配列性および嵌合性が規則的であった.異常蹄の所見では蹄壁移行部において表皮葉と真皮葉との嵌合の不正が認められた.蹄壁中央部および蹄尖部では両葉の嵌合の不正と角質内層の肥厚が観察され, さらに表皮葉の長さと太さの不整および屈曲蛇行がみられた.2次表皮葉は不明瞭で, 蹄芽原線維の形成不全ないしは無形成が認められた.光顕による観察では真皮葉内の静脈の拡張および小ないし最小動脈壁の水腫性膨化, 有棘層の増殖肥厚と水腫および有棘層細胞中にケラトヒアリン顆粒の存在がみられた.