著者
沼畑 早苗
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.30-41, 2019 (Released:2019-01-29)
参考文献数
11
被引用文献数
1

高等学校の地理学習におけるフィールドワークが生徒にどのような影響を及ぼしたか,その効果を明らかにするとともに,新学習指導要領の「地理総合」,「地理探究」で求められている課題を追究したり解決したりする活動の実践例として提示することを目的とする.生徒はフィールドに出ることで,実際に現地を見なければわからないことがあると実感し,地域の特徴や実態を正確に踏まえた上で課題をとらえ直し,解決に向けた多面的・多角的な考察を行うようになった.また,一つの大きな課題が解決した地域であっても,全てがうまく行っているわけではなく,地域内において住民間の温度差や時には摩擦があることも見定めている.さらに,地域の人たちとのつながりや生徒間の議論を通して,コミュニケーション能力を向上させ,協働的に学ぶことの価値や社会に貢献する意義を理解し,課題探究・解決への意欲を高める効果があることがわかった.