著者
岩川 弘宙 泊 幸秀
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.8, pp.510-514, 2015-07-20 (Released:2016-07-20)
参考文献数
26

タンパク質をコードしていない20塩基から30塩基程度の小分子RNAは,相補的な配列をもつ標的遺伝子の発現を負に制御する.核にコードされている小分子RNAであるmicroRNA(miRNA)が内在の相補的な遺伝子を抑制するシステムは動植物で保存されており,分化,発生やストレス応答などさまざまな生体反応を緻密に制御している.本稿では植物のmiRNAが標的の遺伝子を抑制するメカニズム,特にこれまで理解が進んでいなかったmiRNA依存的な翻訳抑制機構について動物のmiRNA機構と比較しながら解説する.
著者
泊 幸秀 塩見 美喜子
出版者
東京大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2009-07-23

Argonauteファミリータンパク質はすべての小分子RNA作用マシナリーの核心を成す因子であり、恒常的に発現するAGOサブファミリーと生殖細胞特異的なPIWIサブファミリーに分類される。AGOサブファミリータンパク質については、これまで機能未知であった「Nドメイン」が小分子RNA二本鎖の一本鎖化に極めて重要な役割を果たしていることを見いだすなど、作用マシナリーの形成と機能に関する多数の重要な知見を得た。またPIWIサブファミリーについては、piRNAの生合成過程の一部を再現出来るin vitroの実験系の構築に成功しその素過程を初めて生化学的に明らかにするなど、顕著な成果を上げた。