著者
津田 菜摘 武藤 崇
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
認知行動療法研究 (ISSN:24339075)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.167-177, 2020-09-30 (Released:2020-12-23)
参考文献数
27
被引用文献数
1

本研究の目的は、本邦初となるアクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)によるスティグマ介入を行い、顕在的・潜在的指標による効果測定を実施することであった。参加者は心理学を専攻する大学生79名であり、実験計画は3(時期:Pre、 Post、 FU)×2(群:ACT、心理教育)×2(体験の回避:高、低)の3要因混合デザインであった。線形混合モデルを用いた解析の結果、潜在的・顕在的指標にかかわらず、体験の回避が強い群、弱い群共に、介入方法による平均値差はみられなかった。また、潜在的・顕在的指標の間に有意な相関関係もみられなかった。これらの結果から、1) ACTと心理教育のうちどちらがスティグマ介入の方法として適しているかは不明であること、2)潜在的・顕在的指標は効果の表れ方は一致するが、異なるスティグマの側面を測定している可能性があることが明らかになった。デザインの改善や介入方法と測定指標の改善など、今後の研究の必要性が示唆された。