著者
橋本 光平 武藤 崇
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.90.17337, (Released:2018-12-25)
参考文献数
18

This research aimed to identify manipulable variables that moderate the effects of behavioral assimilation to age stereotype (BAAS). From a contextual behavioral perspective, individuals who are cognitively fused with the conceptual self could be more vulnerable to the age stereotype. A total of 100 older adult participants were assigned to one of two conditions: age stereotype condition; or neutral information condition (i.e., control condition). Individual differences in “cognitive fusion with conceptual self,” “general cognitive fusion,” “mindfulness,” “perspective taking,” and “acting actively and flexibly in the world” were considered as moderator. Results indicated that “cognitive fusion with conceptual self” significantly moderated the effects of BAAS: participants who were more cognitively fused with the conceptual self were more vulnerable to the age stereotype. No significant moderating effects were found for the other four variables. These findings suggest that if the cognitive fusion with the conceptual self was modified the effects of BAAS would be mitigated.
著者
茂本 由紀 武藤 崇
出版者
日本感情心理学会
雑誌
感情心理学研究 (ISSN:18828817)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.61-70, 2017-02-28 (Released:2017-04-06)
参考文献数
33

The purpose of this study was to develop the Kanji (Chinese characters) Maze Technique (KMT) as a new measure for assessing both rigidity and relational framing, and to investigate KMT's validity as a measure of the rigidity. In addition, a preliminary analysis of KMT's validity as a measure of relational framing was investigated. A total of 67 undergraduate students answered questionnaires and completed the KMT and the Wisconsin Card Sorting Test (WCST). After the experiment, six raters evaluated the KMT's believability based on the participants' feedback. KMT's validity as a measure of rigidity was examined through a comparison with WCST, and by assessing its believability. These results showed that the KMT is a valid measure of rigidity. In the preliminary analysis of KMT's validity as a measure of relational framing, the feature of reaction time in each section was investigated. The results showed that the reaction time of the Set section was less influenced by choosing a route, so it was shown that there was possibility to apply the reaction time to measure relational framing.
著者
武藤 崇 ヘイズ スティーブン C.
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.482-495, 2008 (Released:2010-02-15)
参考文献数
80
被引用文献数
3

This commentary gave some additional findings and implications for “symmetrical bias (or bidirectional relation)” from a viewpoint of Contextual Behavioral Science, in particular, Relational Frame Theory and Acceptance and Commitment Therapy. The given findings were related with a) the transformation of stimulus function through bidirectional relation in persons with specific phobia or mental disorder, b) the emergence or non-emergence of bidirectional relation influenced by baseline-training reversals or protocols in matching-to-sample procedure, and c) the emergence or non-emergence of bidirectional relation in infants or nonhuman subjects. Furthermore, the given implications were related with d) necessity of balancing between abduction and induction, particularly identifying and cumulating the manipulable variables inductively, e) prevention of confusing explanation with cause through symmetrical biases, and f) clarification of own ”purpose and value”, in pursuing symmetry bias or bidirectional relation as one of most fundamental processes in human cognition.
著者
大屋 藍子 槇野 久士 孫 徹 橡谷 真由 玉那覇 民子 大畑 洋子 肥塚 諒 松尾 美紀 河面 恭子 藤井 紀子 金子 春恵 河合 幸枝 福島 佳織 万福 尚紀 細田 公則 武藤 崇
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.12, pp.748-754, 2019-12-30 (Released:2019-12-30)
参考文献数
19

本研究は,糖尿病に対する回避の程度とセルフケア行動の関連を確認し,心理的柔軟性のパターンによってセルフケア行動に違いがあるか検討を行うことを目的とした.124名の2型糖尿病患者に対し,糖尿病に対する心理的態度やセルフケア行動の程度について質問紙調査を実施した.その結果,糖尿病に対する回避の程度が高い者は糖尿病に関する心理的負担が高く,情動的摂食や外発的摂食の傾向も高かった.また,階層的クラスター分析を行った結果,行動先行型,非行動型,行動柔軟型の3つのクラスターが生成された.中でも人生の価値が明確でそれに応じた行動がとれるが,不安や思考への適切な対処が難しい「行動先行型」の患者は,日常での運動頻度が高い一方,心理的負担や情動的摂食の程度も高く,心理的問題の存在が示唆された.2型糖尿病患者には心理的状態に応じたセルフケア行動の特徴があり,それを考慮した糖尿病教育が必要であることが示唆された.
著者
武藤 崇
出版者
筑波大学
雑誌
心身障害学研究 (ISSN:02851318)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.133-146, 1999-04-08

近年、行動分析学では従来の分析枠に文脈的な要因をどのように位置づけるかという問題が注目されている。本稿は、その文脈的な要因とされる概念の1つである「セッティング事象」を、行動分析学の哲学的背景である機能的文脈主義に基づいて、概念分析を実施し、その有用性を検討することを目的とした。その分析の結果、セッティング事象という概念の今後の使用方法と、検討されるべき問題とが提出された。
著者
三田村 仰 武藤 崇 ミタムラ タカシ ムトウ タカシ Mitamura Takashi Muto Takashi
出版者
心理臨床科学編集委員会
雑誌
心理臨床科学 = Doshisha Clinical Psychology : therapy and research (ISSN:21864934)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.57-68, 2012-12-15

研究動向本稿の目的は,わが国での「エビデンスに基づく心理学的実践(evidence-based practice in psychology:EBPP)」の普及を目指し,英国や米国を中心に,どういった問題意識の基に,実証に基づく心理学的実践という考え方が生まれたのかについてその概要を示すことであった。また,その中で,わが国におけるEBPP の普及を目指しておこなわれたアクセプタンス&コミットメント・セラピーのセラピスト養成プログラムの実践を紹介し,わが国でのEBPP の普及の課題と展望を論じた。
著者
武藤 崇 唐岩 正典 岡田 崇宏 小林 重雄
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.31-42, 2000-09-30 (Released:2017-07-28)

本研究は、広汎性発達障害幼児に対する適切な排尿行動の形成を目的とした。そのトイレット・マネイジメント手続きは、短期集中ホーム・デリバリー型の支援形態で実施された。まず、両親に対するインフォームド・コンセント(説明と同意)と、機能アセスメントに基づく援助計画が立案された。次に、その計画に基づいた援助がスタッフと親によって実施された。その結果、マネイジメント援助期において、定時排泄機会の設定間隔を12日間で20分間から50分間まで延ばすことが可能となった。さらにマネイジメント維持期の最終段階で排尿間隔が平均140分まで延び、自発的なトイレへの移動も観察された。また、本援助に対する両親の満足度は非常に高かった。今後は、このような支援形態での援助手続きの伝達方法をさらに検討する必要性が示唆された。
著者
坂野 朝子 武藤 崇 酒井 美枝 井福 正貴
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.123-138, 2016-05-31 (Released:2019-04-27)
参考文献数
35
被引用文献数
2

本研究の目的は、慢性腰痛患者(40歳代・女性)に対するアクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)の治療プログラムの効果を検討することであった。プログラムは全10回であり、ABデザインにより、患者の価値に基づく活動や生活の質に及ぼす効果を調査した。その結果、患者の価値に基づく活動が増加した。また、SF-36の全体的健康感、活力、役割機能(精神)、心の健康の得点がプログラム終了後に増加し(RCI=3.23, 4.84, 2.08, 2.12)、身体機能の得点が4カ月後フォローアップに増加した(RCI=2.89)。さらに、腰痛による生活障害度を測るRDQの得点も減少した(RCI=2.97)。そのほか、痛みに対する破局的思考、不安や抑うつ、ACTのプロセス指標の得点も有意に改善し、4カ月後フォローアップまで維持した。これより、ACTの治療プログラムは、この慢性腰痛患者の痛みや痛みに関する思考・感情が行動に及ぼす影響を低減させ、機能的な活動を増加させることに有効であったと考えられる。
著者
土井 理美 坂野 朝子 武藤 崇 坂野 雄二
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.83-94, 2017-01-31 (Released:2017-10-11)
参考文献数
31

本研究の目的は、Acceptance & Commitment Therapy(ACT)の文脈における「価値」に沿った行動を測定するValuing Questionnaire(VQ)の日本語版を作成し、信頼性および妥当性の検証を行うことであった。大学生262名を対象に確認的因子分析、構成概念妥当性、内的整合性の検討を行い、大学生65名を対象に再検査信頼性および測定誤差の検討を行った。その結果、日本語版VQは10項目2因子構造であり、信頼性と妥当性を有する尺度であることが示された。これまでの価値に沿った行動を測定する尺度と比べ、測定が容易であることから日本語版VQは研究上および臨床上の効果測定に活用できる。今後は、臨床群を対象とした場合でも同様の因子構造が仮定されるかを検討する必要がある。
著者
酒井 美枝 伊藤 義徳 甲田 宗良 武藤 崇
出版者
一般社団法人日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 = Japanese journal of behavior therapy (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.1-11, 2013-01-31
参考文献数
27

「創造的絶望(絶望から始めよう) : Creative Hopelessness(CH)」とは、不快な私的事象を制御することへの動機づけの低減を目的としたアクセプタンス&コミットメント・セラピーにおける治療段階、および、その介入によって獲得されたクライエントの姿勢を指す。CHの獲得の効果を検討した研究はなく、その理由としてその弁別法がない点が挙げられた。そこで、本研究では、行動分析学における「言行一致」を用いて、CHの獲得を弁別し、その効果を検討することを目的とした。社会的場面への回避傾向の高い大学生17名に対して、CH Rationale(講義とエクササイズ)を実施した。結果として、CHが獲得された言行一致群は他群と比べ、介入後のRationaleに関する習得度が最終的に高くなる傾向が示唆された。また、言行一致群では介入前後で社会的場面への苦痛度や精神的健康が改善することが示された。
著者
武藤 崇
出版者
日本行動分析学会
雑誌
行動分析学研究 (ISSN:09138013)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.7-23, 2007-06-30
被引用文献数
1

本稿の目的は、従来からなされてきた特別支援教育に対する行動分析学の寄与を普通教育にまで拡大することの必要性を検討することである。そのため、(1)徹底的行動主義の観点から、現状の特別支援・普通教育に対する新たな問題解決の方向性を明示し、(2)その方向性を支持・示唆する欧米の研究動向を概観し、(3)その概観を踏まえた今後の課題を提示する、という3つの部分から構成されている。その新たな問題解決の方向性とは、(a)学校の構成員全体に関係する社会的随伴性、(b)学級内での一斉指導における教授・マネジメント方法、(C)教育サービスの「質」のマネジメント方法、という3つの事項に関する検討である。
著者
橋本 光平 武藤 崇
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.90, no.1, pp.93-99, 2019 (Released:2019-04-25)
参考文献数
18

This research aimed to identify manipulable variables that moderate the effects of behavioral assimilation to age stereotype (BAAS). From a contextual behavioral perspective, individuals who are cognitively fused with the conceptual self could be more vulnerable to the age stereotype. A total of 100 older adult participants were assigned to one of two conditions: age stereotype condition; or neutral information condition (i.e., control condition). Individual differences in “cognitive fusion with conceptual self,” “general cognitive fusion,” “mindfulness,” “perspective taking,” and “acting actively and flexibly in the world” were considered as moderator. Results indicated that “cognitive fusion with conceptual self” significantly moderated the effects of BAAS: participants who were more cognitively fused with the conceptual self were more vulnerable to the age stereotype. No significant moderating effects were found for the other four variables. These findings suggest that if the cognitive fusion with the conceptual self was modified the effects of BAAS would be mitigated.
著者
武藤 崇
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.1-15, 2001-06-30 (Released:2017-07-28)

本研究は自閉性障害児2名に対する異同概念の成立について検討することを目的とした。まず、異同概念に関する課題分析が刺激等価性パラダイムを応用して実施された。それに基づいて異同概念に関する課題が4つ選定された。さらに、4つの課題構造が分析され、訓練課題が選定された。その訓練課題では、「同じ」という概念に基づく標的反応が正の強化で維持され、「違う」という概念に基づく標的反応が負の強化で維持されるように随伴性が配置された。その結果、1名は1つの刺激セットに対する訓練のみで、異同概念に基づく反応が他の3つの課題や他の新奇な刺激セットに転移した。もう1名においても3つの刺激セットを訓練された後、新奇セットへの転移が得られた。以上の知見は「関係の概念」に対する分析・援助パラダイムへの拡大という観点から考察された。
著者
木下 奈緒子 大月 友 五十嵐 友里 久保 絢子 高橋 稔 嶋田 洋徳 武藤 崇
出版者
一般社団法人日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.65-75, 2011-05-31
被引用文献数
2

本稿の目的は、精神病理の理解や治療という観点から、人問の言語や認知に対して、今後どのような行動分析的研究が必要とされるか、その方向性を示すことであった。人間の言語や認知に対する現代の行動分析的説明は、関係フレーム理論として体系化されている。関係フレーム理論によれば、派生的刺激関係と刺激機能の変換が、人間の高次な精神活動を説明する上で中核的な現象であるとされている。刺激機能の変換に関する先行研究について概観したところ、関係フレームづけの獲得に関する研究、刺激機能の変換の成立に関する研究、刺激機能の変換に対する文脈制御に関する研究の3種類に分類可能であった。これらの分類は、関係フレーム理論における派生的刺激関係と刺激機能の変換の主要な三つの特徴と対応していた。各領域においてこれまでに実証されている知見を整理し、精神病理の理解や治療という観点から、今後の方向性と課題について考察した。